;//●暗渠から地上へ ;//ブロック40300『次の世代へ』 ;//@konya 11/18 EV_CGほか ;//@konya 40180 40200 40210 40220.txtから *40300_TOP ;{SceneSet 次の世代へ} ;//--------------------------------------------------------------- ;//背景:地下道 ;//・主人公視点 ;//登場人物:主人公・浩助(制服)・悠帆(制服→制服+バッグ) ;//    漣(制服→制服+バイオリン)・忠彦(Yシャツ+ヘッドライト) ;//    マルゲリータ(制服) ;//時間帯:夕方? ;//--------------------------------------------------------------- ;//〆:地下通路 [bg storage="BG027"][trans_c cross time=500] ;[eval exp="f.l_map = 11"] [bgm storage="BGM12"] [sysbt_meswin] *1857| [fc] [ns]航[nse] 「コースケ!? 悠帆、それに漣も?[r]  どうしてここに?」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="ren_a9"][ChrSetXY layer=5 x=185 y=0][trans_c cross time=150] *1858| [fc] [vo_ren s="ren0950"] [ns]漣[nse] 「お兄ちゃん!! うわあああぁああん!!」[pcms] ;//@安堵の涙。 *1859| [fc] 漣は顔中を涙で濡らし、叫びながらボクに駆け寄り、抱きついた。[pcms] *1860| [fc] いったい、何があったんだろう?[r] コースケも、悠帆もぐったりした顔をしている。[pcms] *1861| [fc] [ns]航[nse] 「一体……何があった?」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="yuho_a2"][ChrSetXY layer=5 x=164 y=0][trans_c cross time=150] *1862| [fc] [vo_yuh s="yuho0899"] [ns]悠帆[nse] 「急に親分さんが……おかしくなっちゃって……。[r]  漣ちゃんに襲いかかってきて……コースケが……」[pcms] ;//〆:親分の表記の整合性を確認 [ChrSetEx layer=5 chbase="tadahiko_c1"][ChrSetXY layer=5 x=181 y=0][trans_c cross time=150] *1863| [fc] [ns]忠彦[nse] 「おかしくって、オメェ……もしかしてオヤジ……」[pcms] ;//@konya char_clear [chara_int_ layer=5][trans_c cross time=150] ;//se043・扉を強く叩く [se buf=0 storage="se043"] *1864| [fc] [ns]親分[nse] 「ひぃこぉおぉおぉぉおお〜〜!![r]  何処だぁ!! ひこぉおおぉおお!!! あひゃひゃひゃ![r]  気分良いなぁ、オイィ!! 女ァ! 女連れてこいやぁ!」[pcms] *1865| [fc] 扉の奥から聞こえてくるうなり声は、確かに親分のもの[r] だったけど、ついさっきまでの怪我人の『それ』ではなく、[r] 学園を逃げ回っていた時に聞いたあの声――。[pcms] *1866| [fc] 『感染者』の声に似ていた。[pcms] *1867| [fc] 似ていた、と言うより悠帆の話を聞く限りだと、[r] 親分はもう感染して、おかしくなってしまっている。[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="tadahiko_c5"][ChrSetXY layer=5 x=181 y=0][trans_c cross time=150] *1868| [fc] [ns]忠彦[nse] 「……! お、オヤジ!? クソッ……」[pcms] *1869| [fc] 彦ちん……。[pcms] ;//@konya char_clear [chara_int_ layer=5][trans_c cross time=150] *1870| [fc] 彦ちんも、ボクと同じように親分が完全に[r] おかしくなったことを認めているようだった。[pcms] *1871| [fc] 彦ちんは目を閉じてうつむいたまま、歯ぎしりしながら、[r] 何度も、何度も扉を叩いた。[pcms] *1872| [fc] 彦ちんの世界では、親分は親と同じようなもの、と言う。[r] 感染者になってしまったと言うことは、[r] 同時にその人の死をも意味する。[pcms] *1873| [fc] すなわち、彦ちんにとって、今のこの状況は……。[pcms] *1874| [fc] だけど、今この状態で、しかも親分が[r] ああなってしまった以上、ボクにはどうすることもできない。[pcms] *1875| [fc] 気の利いた言葉さえ、かける事もできない……。[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="ren_a9"][ChrSetXY layer=5 x=185 y=0][trans_c cross time=150] *1876| [fc] [vo_ren s="ren0951"] [ns]漣[nse] 「つっ……」[pcms] ;//@苦しそうに [ChrSetEx layer=5 chbase="kou_e11"][ChrSetXY layer=5 x=161 y=0][trans_c cross time=150] *1877| [fc] [ns]浩助[nse] 「だ、大丈夫か!?」[pcms] *1878| [fc] [ns]航[nse] 「どうした、漣!? もしかして怪我したのか?」[pcms] *1879| [fc] 親分が感染した状態で、漣に何かしたのだろう。[r] 手首を押さえながら、小さな呻き声を上げた。[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="ren_a11"][ChrSetXY layer=5 x=185 y=0][trans_c cross time=150] *1880| [fc] [vo_ren s="ren0952"] [ns]漣[nse] 「ううん……すごい力で握られたから、痛くて……。[r]  でも、大丈夫だよ……」[pcms] *1881| [fc] そういって、ボクの目の前に手首を差し出した。[pcms] *1882| [fc] [ns]航[nse] 「確かに、傷とかないな……。痣にもなってないし……。[r]  ……でも、何かあったらすぐに言ってくれよ……」[pcms] *1883| [fc] [vo_ren s="ren0953"] [ns]漣[nse] 「うん……」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="kou_e2"][ChrSetXY layer=5 x=161 y=0][trans_c cross time=150] *1884| [fc] [ns]浩助[nse] 「漣ちゃん、そっちの手だっけ? なんかされたの」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="ren_a1"][ChrSetXY layer=5 x=185 y=0][trans_c cross time=150] *1885| [fc] [vo_ren s="ren0954"] [ns]漣[nse] 「え? こ、こっちだよ……」[pcms] *1886| [fc] [ns]航[nse] 「一応、もう片方も見せてくれよ。漣に何かあったら、[r]  父さんにも……母さんにも申し訳が立たないから……」[pcms] *1887| [fc] 漣はためらいつつも、ボクに白い手首を差し出し、[r] 傷がないかどうか、確かめさせた。[pcms] *1888| [fc] キメ細かく、滑らかな白い肌には、確かに傷一つなかった。[pcms] ;//@konya char_clear [chara_int_ layer=5][trans_c cross time=150] *1889| [fc] 思わず漣だけ心配しちゃってたけど、悠帆も襲われたんだ、[r] 大丈夫かな……。[pcms] *1890| [fc] [ns]航[nse] 「悠帆、君は大丈夫?」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="yuho_a5"][ChrSetXY layer=5 x=164 y=0][trans_c cross time=150] *1891| [fc] [vo_yuh s="yuho0900"] [ns]悠帆[nse] 「え……? わ、わたしは何ともないけど……」[pcms] *1892| [fc] なぜだか判らないけど、スカートで手をぬぐっていた悠帆が、[r] 驚いたように返事をする[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="yuho_a3"][ChrSetXY layer=5 x=164 y=0][trans_c cross time=150] *1893| [fc] [vo_yuh s="yuho0901"] [ns]悠帆[nse] 「わたしは親分さんには特に触られてないから、大丈夫だよ」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="kou_e2"][ChrSetXY layer=5 x=161 y=0][trans_c cross time=150] *1894| [fc] [ns]浩助[nse] 「悠帆、スカートで何してたんだ? そう言えば……[r]  親分さんの手、引きはがそうとしてなかったか?」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="yuho_a1"][ChrSetXY layer=5 x=164 y=0][trans_c cross time=150] *1895| [fc] [vo_yuh s="yuho0902"] [ns]悠帆[nse] 「ううん、ほんとに気分的なものだから。[r]  気にしないで……」[pcms] *1896| [fc] 確かに、悠帆の何処を見ても怪我とか、傷はなかった。[r] 大丈夫だろう。[pcms] ;//@konya char_clear [chara_int_ layer=5][trans_c cross time=150] *1897| [fc] [ns]航[nse] 「コースケは?」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="kou_e1"][ChrSetXY layer=5 x=161 y=0][trans_c cross time=150] *1898| [fc] [ns]浩助[nse] 「オレをなめるな。そんな簡単にやられたりしないよ。[r]  ただ、ケツすりむいたかも……」[pcms] *1899| [fc] [ns]航[nse] 「ケツ?」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="kou_e5"][ChrSetXY layer=5 x=161 y=0][trans_c cross time=150] *1900| [fc] [ns]浩助[nse] 「いや、何でもない……」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="kou_e1"][ChrSetXY layer=5 x=161 y=0][trans_c cross time=150] *1901| [fc] 何か言いかけて、そこで言葉を止めたコースケだけど、[r] コイツも特に何かを隠している訳ではなさそうだ。[pcms] ;//@konya char_clear [chara_int_ layer=5][trans_c cross time=150] *1902| [fc] [ns]航[nse] 「とりあえず、今のところは全員平気みたいだね。[r]  良かった……」[pcms] ;//se043・扉を強く叩く [se buf=0 storage="se043"] [ChrSetEx layer=5 chbase="tadahiko_c5"][ChrSetXY layer=5 x=181 y=0][trans_c cross time=150] *1903| [fc] [ns]航[nse] 「彦ちん……」[pcms] *1904| [fc] ボクの言った『良かった』に反応したかのように、[r] 彦ちんが強く扉を叩いた。[pcms] *1905| [fc] そうだった……。親分さんがこんな風になっちゃってるのに、[r] 良かった、なんて言っちゃった……。[r] 彦ちんを怒らせちゃったかな。[pcms] *1906| [fc] それまで閉じていた目は、いつも以上の鋭い目つきに[r] 代わって、大きく息を吸い込んだ。[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="tadahiko_c1"][ChrSetXY layer=5 x=181 y=0][trans_c cross time=150] *1907| [fc] [ns]忠彦[nse] 「……オヤジ……楽にしてやる……」[pcms] *1908| [fc] 彦ちんは腰に手をやると、重く鈍く輝く鉄の塊を――[r] 一丁の拳銃を取り出した。[pcms] *1909| [fc] 『楽にしてやる』って事は……。[r] 彦ちんは、親分さんを……。[pcms] *1910| [fc] [ns]航[nse] 「彦ち……」[pcms] *1911| [fc] [ns]忠彦[nse] 「黙ってろ、航。[r]  俺が……俺しかできねぇんだよ、コレは。[r]  何言われたって、俺はやるしかねえ」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="tadahiko_c5"][ChrSetXY layer=5 x=181 y=0][trans_c cross time=150] *1912| [fc] [ns]忠彦[nse] 「オヤジだって……あんなザマになってんの、[r]  他のヤツラに見られたくないって言ってんだよ……!![r]  それに、俺以外にゃオヤジのあんな所……見せらんねえ!」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="tadahiko_c4"][ChrSetXY layer=5 x=181 y=0][trans_c cross time=150] *1913| [fc] 彦ちんの勢いにボクたちは気圧されてしまい、[r] 指先一本動かせなくなってしまっていた。[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="maru_a2"][ChrSetXY layer=5 x=147 y=0][trans_c cross time=150] *1914| [fc] ただうつむき、彦ちんをできるだけ見ない様にしている[r] ボクたちだったけど、ただ一人マル子先輩だけは、[r] 彦ちんをじっと見つめていた。[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="tadahiko_c1"][ChrSetXY layer=5 x=181 y=0][trans_c cross time=150] *1915| [fc] [ns]忠彦[nse] 「オヤジ……」[pcms] ;//se040・扉を開ける [se buf=0 storage="se040"] ;//〆:黒画面 [black_toplayer][trans_c cross time=1000][hide_chara_int] *1916| [fc] [ns]親分[nse] 「ひこぁああぁあああ!!![r]  テメェ、何だァその態度はよぉ!!」[pcms] *1917| [fc] [ns]親分[nse] 「おあぁははははぁあはは!!![r]  ひこぉ〜! お前、一人前になったなぁ、オイィ!![r]  ひひっ!! がはははっ! がはっ! ヤれぇぇぇ!!」[pcms] ;//se026・銃声 [se buf=0 storage="se026"] [wait time=2000] ;//〆:ラベル 悠帆・漣 *40300_01 ;//〆:地下通路 ;//@konya ev025 地下道(BG扱い) [evcg storage="EV025c"][trans_c cross time=300] ;[eval exp="f.l_map = 12"] [ChrSetEx layer=5 chbase="tadahiko_c1"][ChrSetXY layer=5 x=181 y=0][trans_c cross time=150] *1918| [fc] [ns]忠彦[nse] 「すまねえ……。オヤジ」[pcms] ;//@konya 立ちキャラとの不整合のためコメントオフ ;//彦ちんは親分さんに、自分の着ていたジャケット―― ;//白いジャケットを、そっと被せた。 *1919| [fc] 彦ちんは目を閉じ、親分さんに軽く頭を下げた。[pcms] *1920| [fc] ボクたちも、みな申し合わせたかのように、[r] 彦ちんと同じく黙祷を捧げた。[pcms] *1921| [fc] [ns]忠彦[nse] 「オヤジ、こんなんなっちまってよ……。[r]  こんなに血まみれじゃ、触る事もできねぇけど……、[r]  多分事務所ん中からすでに駄目だったのかもしれねぇな」[pcms] *1922| [fc] [ns]忠彦[nse] 「オヤジ、ポン刀ブン回してたしよ、[r]  そん時、何人も斬ってたし、ここに逃げてくる途中で[r]  アイツらに引っ掻かれたのかもしれねえ」[pcms] *1923| [fc] [ns]忠彦[nse] 「それに、もしかしたら……」[pcms] *1924| [fc] [ns]航[nse] 「……」[pcms] *1925| [fc] 彦ちんは、それっきり黙り込んでしまって[r] 『もしかしたら……』の後に続くはずの事を[r] 言うことはなかった。[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="ren_a11"][ChrSetXY layer=5 x=185 y=0][trans_c cross time=150] *1926| [fc] [vo_ren s="ren0955"] [ns]漣[nse] 「怖い顔してたけど、お祭り手伝ってくれたり、[r]  街のゴミ拾いにも顔出してくれたり、いい人だったよね……」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="yuho_a2"][ChrSetXY layer=5 x=164 y=0][trans_c cross time=150] *1927| [fc] [vo_yuh s="yuho0903"] [ns]悠帆[nse] 「うん……」[pcms] ;//@konya char_clear [chara_int_ layer=5][trans_c cross time=150] *1928| [fc] 確かに、親分さんはボクたちにも優しくしてくれた。[pcms] *1929| [fc] ボクたちが彦ちんと付き合いがあるからとかじゃなく、[r] 敵でない者に対しては分け隔てなく紳士的で……[pcms] *1930| [fc] 見た目以外はとてもそう言った職業の人とは[r] 思えないくらいだった。[pcms] *1931| [fc] なんの面識もない人が目の前で死んでいっても、[r] 怖いとか、哀しいとか、色々思うだろう。[pcms] *1932| [fc] 今のボクの目の前では、[r] 親しい人が何人も死んでしまっている。[pcms] *1933| [fc] なのに……。[pcms] *1934| [fc] 哀しさが限界を超えてしまって、特に何も感じない。[r] 寂しいとは思うけど、それ以上の感情はなかった。[pcms] *1935| [fc] でも。[pcms] *1936| [fc] もし、悠帆や、漣、コースケ達幼馴染みや、[r] マル子先輩、彦ちんが死んでしまったら[r] ボクはどう思うんだろう。[pcms] *1937| [fc] 今と同じ『寂しい』だけで済むのかな。[pcms] *1938| [fc] そのときが来なければ、それに越したことはないけど……。[pcms] ;//〆:フェードアウト [black_toplayer][trans_c cross time=1000][hide_chara_int] ;//------------------------------------------------------- ;//悠帆 制服+バッグ ;//漣 制服+バイオリン ;//〆地下通路 [bg storage="BG027"][trans_c cross time=500] ;[eval exp="f.l_map = 11"] *1939| [fc] 長靴。[r] レインコート。[pcms] *1940| [fc] それら防水グッズに身を固め、[r] 地下通路を移動する準備を整えたボクたちは、[r] 彦ちんを先頭にして移動を開始した。[pcms] *1941| [fc] 学園を背にして、駅方向へと少し移動した所で、[r] 彦ちんがぽつりと口を開いた。[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="tadahiko_c1"][ChrSetXY layer=5 x=181 y=0][trans_c cross time=150] *1942| [fc] [ns]忠彦[nse] 「この上はよ、東洋ハンドが建ってんだ。[r]  そのちょっと先にT字路がある。そこを左に曲がると……、[r]  大通りのほぼ真下だ」[pcms] *1943| [fc] [ns]忠彦[nse] 「その先は明治通りの下で、渋谷川につながっている」[pcms] *1944| [fc] [ns]忠彦[nse] 「右に曲がると、ハンド前の坂があるだろ?[r]  あの坂に沿って、なだらかな下り階段があるんだ。[r]  今はそっちを通るぞ」[pcms] ;//@konya char_clear [chara_int_ layer=5][trans_c cross time=150] *1945| [fc] 彦ちんの説明を聞いても、ボクたちの頭の上に、[r] 東洋ハンドがあるなんて、想像もできなかった。[pcms] *1946| [fc] ただ、彦ちんが言うなだらかな下り階段にさしかかった時、[r] ハンド前の坂を思い出すと、何となく、[r] それが本当かと思えた。[pcms] [black_toplayer][trans_c cross time=1000][hide_chara_int] [bg storage="BG027"][trans_c cross time=500] ;[eval exp="f.l_map = 11"] [ChrSetEx layer=5 chbase="maru_b1"][ChrSetXY layer=5 x=147 y=0][trans_c cross time=150] *1947| [fc] [vo_mar s="maru0997"] [ns]マルガリータ[nse] 「……」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="ren_j1"][ChrSetXY layer=5 x=185 y=0][trans_c cross time=150] *1948| [fc] [vo_ren s="ren0956"] [ns]漣[nse] 「なに、コレ……」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="yuho_b2"][ChrSetXY layer=5 x=164 y=0][trans_c cross time=150] *1949| [fc] [vo_yuh s="yuho0904"] [ns]悠帆[nse] 「最悪。カビの匂いで吐きそう……」[pcms] ;//@konya char_clear [chara_int_ layer=5][trans_c cross time=150] *1950| [fc] 口々に文句を言う女の子たちだが、[r] ボクもこの匂いには慣れる事はできなかった。[pcms] *1951| [fc] 足下を見ると、水の流れがあったのか、[r] カビやヘドロの残がいがそこかしこにこびりついていた。[pcms] *1952| [fc] もう100メートル近く歩いたけど、向かう先は暗闇で、[r] あとどのくらいこの状態が続くのか、検討がつかなかった。[pcms] *1953| [fc] それに進むに従って下水の匂いがきつくなっていく。[pcms] *1954| [fc] [ns]航[nse] 「彦ちん……ボク、もうこの匂い耐えられない……」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="tadahiko_c1"][ChrSetXY layer=5 x=181 y=0][trans_c cross time=150] *1955| [fc] [ns]忠彦[nse] 「ぼやくな。もう着くぞ。ほら、あの鉄格子、見えるか?[r]  あそこさえ抜ければ、まだマシになる」[pcms] ;//@konya char_clear [chara_int_ layer=5][trans_c cross time=150] *1956| [fc] 目線だけで指し示した先には、確かに格子状の扉があった。[pcms] *1957| [fc] ようやく、この匂いから開放される……。[pcms] ;//〆:黒画面 [black_toplayer][trans_c cross time=1000][hide_chara_int] ;//se044・鉄格子を開ける(無ければカチャカチャ音 [se buf=0 storage="se044"] *1958| [fc] 鉄格子の扉には鍵はなく、手で押すと簡単に開いた。[pcms] *1959| [fc] そのまま進むと、そこにはコンクリートでできた地下室があった。[pcms] ;//〆:コンクリートの地下室 ;//@konya 渋谷地下 合流部 [bg storage="BG025"][trans_c cross time=500] ;[eval exp="f.l_map = 13"] *1960| [fc] 床に深さ1.5メートルほどのプールがあって、[r] その中にはくるぶしくらいの高さまで、[r] 濁った下水が溜まっていた。[pcms] *1961| [fc] 壁を見回すと、コンクリートが所々はげ落ちていて、[r] 鉄筋がちらほら見えていた。[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="kou_f2"][ChrSetXY layer=5 x=161 y=0][trans_c cross time=150] *1962| [fc] [ns]浩助[nse] 「なんだあれ……。奥の方に階段がある?」[pcms] ;//@konya char_clear [chara_int_ layer=5][trans_c cross time=150] *1963| [fc] コースケが明かりを向けた先には、[r] プールに降りる為だろうか、短い階段があった。[pcms] *1964| [fc] そのさらに先、プールの壁には、ボクたちでもかがめば[r] 通れる程の通路のような、トンネルの様なものがあった。[r] 他にも何カ所かトンネルの様なものがあった。[pcms] *1965| [fc] その中の一つに、無言のままの彦ちんが向かう。[r] ボクたちは彼について行くしかなかった。[pcms] ;//〆:黒画面 [black_toplayer][trans_c cross time=1000][hide_chara_int] [bg storage="BG027"][trans_c cross time=500] ;[eval exp="f.l_map = 13"] [ChrSetEx layer=5 chbase="maru_b1"][ChrSetXY layer=5 x=147 y=0][trans_c cross time=150] *1966| [fc] [vo_mar s="maru0998"] [ns]マルガリータ[nse] 「またこの匂いか」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="yuho_b2"][ChrSetXY layer=5 x=164 y=0][trans_c cross time=150] *1967| [fc] [vo_yuh s="yuho0905"] [ns]悠帆[nse] 「そろそろ慣れて来た気がする自分がイヤ……」[pcms] ;//@konya char_clear [chara_int_ layer=5][trans_c cross time=150] *1968| [fc] しばらくはトンネル、彦ちん曰く『配水管』の中を[r] 進んでいたボクたち。[pcms] *1969| [fc] もっと明るければ、それほど気にならない距離だったろう。[pcms] *1970| [fc] だけど、今は1メートル進むのにも、[r] 長い時間が過ぎているように思える。[pcms] *1971| [fc] 精神的な疲労からか、言葉少なめになってきたころ、[r] 前方から、水の流れる音が聞こえてきた。[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="tadahiko_c1"][ChrSetXY layer=5 x=181 y=0][trans_c cross time=150] *1972| [fc] [ns]忠彦[nse] 「外が近いぞ。もう少しで宇多川の暗渠だ。[r]  今のこのクソみたいな通路より全然マシだ。[r]  もう少し頑張れ、みんな」[pcms] ;//@konya char_clear [chara_int_ layer=5][trans_c cross time=150] *1973| [fc] 彦ちんは、この地下通路を本当に熟知している。[r] 今までと同じように、そう言ったすぐ直後に道の幅が広がった。[pcms] ;//〆:黒画面 [black_toplayer][trans_c cross time=1000][hide_chara_int] ;//〆:地下通路 [bg storage="BG027"][trans_c cross time=500] ;[eval exp="f.l_map = 13"] *1974| [fc] [ns]航[nse] 「確かに、ちょっとはマシだね……」[pcms] *1975| [fc] それまでは少しかがみ気味で通ってきたのが、[r] 高さが変わったことで身体は楽になった。[pcms] *1976| [fc] 大人二人が並んで歩いても、全く問題のない広さの通路が、[r] ボクたちを出迎えた。[pcms] *1977| [fc] 今までと同じくらいの暗さだったけど、[r] 少し先に――地上からのものだろうか――帯状の光が[r] 差し込んでいる部分があった。[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="ren_j3"][ChrSetXY layer=5 x=185 y=0][trans_c cross time=150] *1978| [fc] [vo_ren s="ren0957"] [ns]漣[nse] 「長靴はいててよかったね。ずーっと水たまりだもの」[pcms] *1979| [fc] [ns]航[nse] 「漣、疲れてないか?」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="ren_j8"][ChrSetXY layer=5 x=185 y=0][trans_c cross time=150] *1980| [fc] [vo_ren s="ren0958"] [ns]漣[nse] 「うん、大丈夫だよ。おいてかれるよ、お兄ちゃん」[pcms] ;//@konya char_clear [chara_int_ layer=5][trans_c cross time=150] *1981| [fc] 足下の水量は相変わらず足首くらいまでだったけど、[r] 下り坂の底辺に近いからか、水の流れが速くなっていた。[pcms] *1982| [fc] そのおかげで、下水の匂いは少しだけ和らいでいた。[pcms] *1983| [fc] ……もっとも、ボクの鼻が麻痺しちゃったのかもしれないけど。[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="tadahiko_c1"][ChrSetXY layer=5 x=181 y=0][trans_c cross time=150] *1984| [fc] [ns]忠彦[nse] 「そろそろだ。もうじき宇多川通りに出られる」[pcms] *1985| [fc] [ns]忠彦[nse] 「その先は……右手が上流になっていて、[ruby text="四つ葉瀬町"][ch text="俺らの街"]や、[r]  代々木上原の方に出るんだが、上流に行くに従って通路が[r]  狭くなる。人が通れるのは俺らの街の下くらいが限界だ」[pcms] *1986| [fc] [ns]忠彦[nse] 「だが、向かうのはそっちじゃねえ。渋谷駅の方に行くんだ。[r]  こっち側は逆に通路が広くなる。……それはさておきだ、[r]  こっから先、足下に気を付けろ。流れがもっと速くなる」[pcms] ;//位置は、保育園の横の道から、 ;//宇田川通りに出る場所。 [ChrSetEx layer=5 chbase="yuho_b5"][ChrSetXY layer=5 x=164 y=0][trans_c cross time=150] *1987| [fc] [vo_yuh s="yuho0906"] [ns]悠帆[nse] 「あれ……? 滝みたいな音がするね」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="tadahiko_c1"][ChrSetXY layer=5 x=181 y=0][trans_c cross time=150] *1988| [fc] [ns]忠彦[nse] 「ありゃ合流ん所……下水の合流点みたいなモンで、[r]  堰があるんだ。だが、そこまでは行かねえ。[r]  もう一回言うぞ。足下に気を付けろよ」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="maru_b1"][ChrSetXY layer=5 x=147 y=0][trans_c cross time=150] *1989| [fc] [vo_mar s="maru0999"] [ns]マルガリータ[nse] 「わかった」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="kou_f11"][ChrSetXY layer=5 x=161 y=0][trans_c cross time=150] *1990| [fc] [ns]浩助[nse] 「お、おう……」[pcms] ;//@konya char_clear [chara_int_ layer=5][trans_c cross time=150] *1991| [fc] 今ボクたちが通っているのは、いつも歩いている道の真下……。[pcms] *1992| [fc] つまり、レコ村やLASERが面している[r] 宇多川通りに沿って伸びている。[pcms] *1993| [fc] [ns]航[nse] 「何気に歩いていた地面の下に、こんな通路が……いや、[r]  暗渠があるなんて、イマイチ現実味がないんだよね」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="kou_f1"][ChrSetXY layer=5 x=161 y=0][trans_c cross time=150] *1994| [fc] [ns]浩助[nse] 「そうだな……。ここの存在は聞いていたけど、[r]  実際に歩いてみると、また不思議なモンだな……」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="maru_b1"][ChrSetXY layer=5 x=147 y=0][trans_c cross time=150] *1995| [fc] [vo_mar s="maru1000"] [ns]マルガリータ[nse] 「……家庭排水はタレ流し。処理する能力もないまま、[r]  ドブ川になってしまった宇多川を、オリンピックの為に……[r]  観光客の前から覆い隠す為……」[pcms] ;//後半の「観光客の前から覆い隠す為……」くどくないですか? ;//次のセリフでも説明続くので不要な気がします。 *1996| [fc] [vo_mar s="maru1001"] [ns]マルガリータ[nse] 「それと同時に、異臭問題を解決するには、[r]  当時の技術力では、地下に隠すしかなかったんだ」[pcms] *1997| [fc] [vo_mar s="maru1002"] [ns]マルガリータ[nse] 「しかし、今なら……技術が進歩した今なら、[r]  こんな風に隠すのではなくて、再び人の目に触れるように[r]  しても良いのかもしれないな」[pcms] *1998| [fc] [vo_mar s="maru1003"] [ns]マルガリータ[nse] 「新宿御苑から原宿の地下を通っている渋谷川……、[r]  地下を通っている部分も外から見えるようにして、[r]  川の街『渋谷』を復活させれば――」[pcms] *1999| [fc] [vo_mar s="maru1004"] [ns]マルガリータ[nse] 「今とはまた違う魅力を持った街にできるかもしれないな。[r]  まあ、今この段で言うべき事ではないが……」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="yuho_b5"][ChrSetXY layer=5 x=164 y=0][trans_c cross time=150] *2000| [fc] [vo_yuh s="yuho0907"] [ns]悠帆[nse] 「マル子先輩、詳しいですね……」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="ren_j4"][ChrSetXY layer=5 x=185 y=0][trans_c cross time=150] *2001| [fc] [vo_ren s="ren0959"] [ns]漣[nse] 「うん、驚いちゃった。[r]  私も知らないことばっかりだったし……」[pcms] ;//@konya char_clear [chara_int_ layer=5][trans_c cross time=150] *2002| [fc] マル子先輩の話した内容は、[r] 漣の言うとおり知らないことが多かった。[pcms] *2003| [fc] だけど、話を聞いていて、ボクも思うところがあった。[pcms] *2004| [fc] いわゆる、開発の為に背の高いビルや、[r] 便利ではあるけど、夜でも昼の様に辺りを照らす人口の光。[pcms] *2005| [fc] マル子先輩は、地下に追いやられた川を。[r] ボクは、人口の光にかき消された空の川を。[pcms] *2006| [fc] 全て人のエゴの為にかき消した[ruby text="渋谷"][ch text="この街"]に対して、[r] 少し腹立たしさを覚えた。[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="kou_f1"][ChrSetXY layer=5 x=161 y=0][trans_c cross time=150] *2007| [fc] [ns]浩助[nse] 「詳しいのは認めるけどさ……なんて言うの?[r]  マル子先輩って、地下マニア?」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="maru_b1"][ChrSetXY layer=5 x=147 y=0][trans_c cross time=150] *2008| [fc] [vo_mar s="maru1005"] [ns]マルガリータ[nse] 「マニア? そんなものじゃない。[r]  ワタシの場合は、母様が……母様の生まれ故郷の、[ruby text="実家"][ch text="ジッカ"][r]  と言ったか。それが四つ葉瀬町にあったからだ」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="yuho_b5"][ChrSetXY layer=5 x=164 y=0][trans_c cross time=150] *2009| [fc] [vo_yuh s="yuho0908"] [ns]悠帆[nse] 「そう言えば、先輩の名字? の『穂村』って、[r]  聞いた事が……」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="tadahiko_c2"][ChrSetXY layer=5 x=181 y=0][trans_c cross time=150] *2010| [fc] [ns]忠彦[nse] 「穂村? ああ! そう言えば……もう十ン年前になるが、[r]  確かに『穂村』って名前の……アレだ! 雑貨屋の穂村か!」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="maru_b1"][ChrSetXY layer=5 x=147 y=0][trans_c cross time=150] *2011| [fc] [vo_mar s="maru1006"] [ns]マルガリータ[nse] 「そうだ。ワタシの母様はその雑貨屋の長女で、『[ruby text="ヒトミ"][ch text="仁美"]』と言う」[pcms] *2012| [fc] ボクも何度かお使いにいった記憶がある。[r] まさか、こんな所でマル子先輩とつながるなんて[r] 思ってもいなかった。[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="tadahiko_c2"][ChrSetXY layer=5 x=181 y=0][trans_c cross time=150] *2013| [fc] [ns]忠彦[nse] 「雑貨屋の看板娘でよ……俺も憧れたモンだぜ。[r]  ……つっても、海越えて嫁に行っちまったなんて聞いてよ。[r]  あん時ぁ、驚いたもんだぜ」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="kou_f1"][ChrSetXY layer=5 x=161 y=0][trans_c cross time=150] *2014| [fc] [ns]浩助[nse] 「でもさ、穂村雑貨屋って何年も前に潰れただろ?[r]  今はそこ、別の店入ってるけど、今あの雑貨屋の人達……。[r]  マル子先輩の家の人って、どうしてるんですか?」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="maru_b1"][ChrSetXY layer=5 x=147 y=0][trans_c cross time=150] *2015| [fc] [vo_mar s="maru1007"] [ns]マルガリータ[nse] 「お店の店主、ワタシの祖父母だな。二人は雑貨屋を畳んで[r]  のんびりと暮らすために、甲府の方へと引っ越した。[r]  だが五年前に二人とも亡くなった」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="tadahiko_c2"][ChrSetXY layer=5 x=181 y=0][trans_c cross time=150] *2016| [fc] [ns]忠彦[nse] 「ウチの事務所にもよ、毎年律儀に年賀状、暑中見舞いって[r]  送って来てくれてたなあ……。5年前に、ネェちゃんの[r]  祖父母がなくなったときも、仁美名義でハガキ来たな」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="tadahiko_c1"][ChrSetXY layer=5 x=181 y=0][trans_c cross time=150] *2017| [fc] [ns]忠彦[nse] 「おっと、昔話はここまでだ。目的地に着いたぞ」[pcms] ;//〆:黒画面 [black_toplayer][trans_c cross time=1000][hide_chara_int] ;//〆:地下通路 [bg storage="BG027"][trans_c cross time=500] ;[eval exp="f.l_map = 13"] *2018| [fc] 目的地、と言う所は、またしても排水溝だった。[r] だが、今回は水の流れはなく、歩きやすそうだった。[pcms] *2019| [fc] 目的地だと聞かされた事と、歩きやすそうなその道は、[r] ボクには少しだけ、希望の道に見えた。[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="tadahiko_c2"][ChrSetXY layer=5 x=181 y=0][trans_c cross time=150] *2020| [fc] [ns]忠彦[nse] 「こっからは真っ直ぐだ。お前ら先にいけ。[r]  もう案内もいらねえからな」[pcms] *2021| [fc] 彦ちんはボクたちを見守るようにして、通路へと進ませる。[r] その排水溝を通ると、すぐに縦に長い小部屋の様な所に出た。[pcms] *2022| [fc] 小部屋の突き当たりには、Uの字の鉄の棒が埋め込まれ、[r] ハシゴの様になっていた。[pcms] *2023| [fc] 真っ直ぐ上へと伸びる壁に、正確に並んだUの字。[r] そのさらに上には、四角い大きなハッチが見えた。[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="tadahiko_c1"][ChrSetXY layer=5 x=181 y=0][trans_c cross time=150] *2024| [fc] [ns]忠彦[nse] 「あのハッチの脇にレバーがあるんだが、それを押せば、[r]  ロックが外れて、蓋が浮く仕組みになっている。[r]  簡単だから、誰でもできるはずだ」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="maru_b1"][ChrSetXY layer=5 x=147 y=0][trans_c cross time=150] *2025| [fc] [vo_mar s="maru1008"] [ns]マルガリータ[nse] 「ワタシはスカートだ。男性陣が先に昇ってくれ。[r]  わかりきっている状態で、お前達に[r]  見せるものではないからな」[pcms] *2026| [fc] マル子先輩はスカートの裾を抑えながら、そう言った。[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="kou_f5"][ChrSetXY layer=5 x=161 y=0][trans_c cross time=150] *2027| [fc] [ns]浩助[nse] 「今そんなことしてる余裕ないでしょ……まったく……」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="maru_b1"][ChrSetXY layer=5 x=147 y=0][trans_c cross time=150] *2028| [fc] [vo_mar s="maru1009"] [ns]マルガリータ[nse] 「悪態をつく余裕はあるんだな」[pcms] *2029| [fc] コースケにヘッドランプを渡し、先に進むよう[r] 目で促すマル子先輩。[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="kou_f5"][ChrSetXY layer=5 x=161 y=0][trans_c cross time=150] *2030| [fc] [ns]浩助[nse] 「わかりましたよ……。じゃあ、行くぜ……」[pcms] ;//@konya char_clear [chara_int_ layer=5][trans_c cross time=150] *2031| [fc] 4メートルはあろうかという階段を、[r] 慎重に登っていくコースケ。[pcms] *2032| [fc] 元々体力も、運動神経もあるコースケは、[r] あっと言う間にハッチまでたどり着き、[r] 彦ちんの言う『レバー』を操作した。[pcms] *2033| [fc] すると、すぐに地上からの光が差し込み、辺りを照らす。[pcms] *2034| [fc] 光があると落ち着くなあ……。[r] やっぱり、暗い所だと気が滅入っちゃうもんな……。[pcms] *2035| [fc] しばらくの間、暗闇で移動していたボクは、光の大切さを[r] 再認識した。[pcms] *2036| [fc] [ns]浩助[nse] 「上は大丈夫だ」[pcms] *2037| [fc] コースケの声を聞き、女の子達が先に登る。[r] ボクと彦ちんは、マル子先輩に『上を見るな』と[r] クギをさされた。[pcms] *2038| [fc] マル子先輩、悠帆の順で登っていく。[r] あとは、漣とボクと彦ちんだ。[pcms] *2039| [fc] 漣に万が一があるといけない。[r] 先に登らせておいた方がいい。[pcms] *2040| [fc] [ns]航[nse] 「慌てなくていいからね、漣。[r]  ゆっくり、登っていけば大丈夫だから」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="ren_j3"][ChrSetXY layer=5 x=185 y=0][trans_c cross time=150] *2041| [fc] [vo_ren s="ren0960"] [ns]漣[nse] 「うん」[pcms] ;//@konya char_clear [chara_int_ layer=5][trans_c cross time=150] *2042| [fc] 一段、また一段と、ボクの言いつけを守るように、[r] 確認しながら登る漣。[pcms] *2043| [fc] 漣が登り切った事を確認したボクは、階段に手をかけた。[r] 足を上げようとした矢先、彦ちんはボクを引き留めた。[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="tadahiko_c1"][ChrSetXY layer=5 x=181 y=0][trans_c cross time=150] *2044| [fc] [ns]忠彦[nse] 「航、ちっと来てくれ」[pcms] *2045| [fc] [ns]航[nse] 「……?」[pcms] ;//@konya char_clear [chara_int_ layer=5][trans_c cross time=150] *2046| [fc] 上にいる4人に、少し待ってと声をかけ、[r] 彦ちんと二人、元来た用水路へと戻る。[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="tadahiko_c2"][ChrSetXY layer=5 x=181 y=0][trans_c cross time=150] *2047| [fc] [ns]忠彦[nse] 「航……俺はここまでだ」[pcms] *2048| [fc] [ns]航[nse] 「え?」[pcms] *2049| [fc] [ns]忠彦[nse] 「アイツが……緒織がまだ店で待ってるからな……[r]  お前はみんなと一緒に、先に行け。[r]  俺ァ緒織を連れて戻ってくるからよ」[pcms] *2050| [fc] [ns]航[nse] 「……彦ちん! いくら彦ちんでも、[r]  一人で行くのは危ないよ![r]  ボクらだって、力になれるから……」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="tadahiko_c1"][ChrSetXY layer=5 x=181 y=0][trans_c cross time=150] *2051| [fc] [ns]忠彦[nse] 「オメェらみたいなガキじゃ、却って足手まといなんだよ![r]  俺一人の方が全然マシだ![r]  それにコレは俺の仕事なんだよ。わかるか?」[pcms] *2052| [fc] [ns]忠彦[nse] 「俺は、俺が惚れた女を連れに行くんだ。[r]  俺の女だぞ、緒織は。オメェみたいなガキのモンじゃねえ。[r]  緒織は、俺の愛した女だ」[pcms] *2053| [fc] [ns]忠彦[nse] 「だから、俺が責任とらなきゃならねぇんだよ。[r]  航……オメェだって好きな女いるだろ。守らなきゃならねえ[r]  女もいるだろ! お前は、お前の仕事をしろ!」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="tadahiko_c2"][ChrSetXY layer=5 x=181 y=0][trans_c cross time=150] *2054| [fc] [ns]忠彦[nse] 「第一よ、大事な身内……特に惚れた女の為に命張るってな、[r]  最高の仕事だぜ!? それをオメェみたいなガキに[r]  手伝って貰うなんて、男が廃るぜ」[pcms] *2055| [fc] [ns]航[nse] 「でも……」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="tadahiko_c1"][ChrSetXY layer=5 x=181 y=0][trans_c cross time=150] *2056| [fc] [ns]忠彦[nse] 「でももヘッタクレもねえ! 第一、航、お前……[r]  悠帆にまだコクってねぇんだろ?」[pcms] *2057| [fc] [ns]航[nse] 「……」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="tadahiko_c2"][ChrSetXY layer=5 x=181 y=0][trans_c cross time=150] *2058| [fc] [ns]忠彦[nse] 「繰り返すけどな、自分の仕事は、自分でやるんだ。[r]  さっさと仕事終わらせねぇとな、流れ星になっちまうぜ?」[pcms] *2059| [fc] [ns]航[nse] 「あ……」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="tadahiko_c1"][ChrSetXY layer=5 x=181 y=0][trans_c cross time=150] *2060| [fc] [ns]忠彦[nse] 「オメェも男なら、言いたいこと……伝えたい事が[r]  あるんなら、伝えたいウチにやっておけ。[r]  それが大切な人に対してなら、なおさらだ」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="tadahiko_c2"][ChrSetXY layer=5 x=181 y=0][trans_c cross time=150] *2061| [fc] [ns]忠彦[nse] 「人ってな、良い意味でも悪い意味でも、どんどん変わるモンだ。[r]  お前にしても、悠帆にしてもな。だから、その時の気持ちが[r]  大切だと思ったら、そのときに伝えちまえ」[pcms] *2062| [fc] [ns]忠彦[nse] 「伝えちまえばこっちのモンだ。[r]  相手がどう思うかはさておきな。さっき言ったように、[r]  気持ちってな変わるモンだからな」[pcms] *2063| [fc] [ns]忠彦[nse] 「第一こんな有様じゃ、オメェだって悠帆だって[r]  死んじまうかもしれねぇ。お前、言いたいこと言う前に[r]  死んだら浮かばれねぇぞ?」[pcms] *2064| [fc] [ns]航[nse] 「…………」[pcms] *2065| [fc] 彦ちんの言うことはもっともだ。[pcms] *2066| [fc] 返す言葉もなく、かといってうなずいて賛同するでもなく。[r] ボクはただ、彦ちんの言うことを聞いていた。[pcms] *2067| [fc] [ns]忠彦[nse] 「オメェはヘタレだが、芯のある男だと俺は思ってる。[r]  ほれ、子供の頃虐められてた漣を守ってやってたろ。[r]  殴られても、泣いたりせずにらみ返したりしてたよな」[pcms] *2068| [fc] [ns]忠彦[nse] 「ありゃたいしたモンだと思ってたんだぜ、俺は」[pcms] *2069| [fc] [ns]航[nse] 「……ボクは、そんなに凄くなんかないよ……」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="tadahiko_c6"][ChrSetXY layer=5 x=181 y=0][trans_c cross time=150] *2070| [fc] [ns]忠彦[nse] 「へっ……」[pcms] *2071| [fc] 彦ちんは笑いながらボクの額をこづく。[pcms] *2072| [fc] 昔……イジメッ子にボコボコにされたあと、[r] ボクを慰めようと、こんな風にしてくれてたな……。[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="tadahiko_c2"][ChrSetXY layer=5 x=181 y=0][trans_c cross time=150] *2073| [fc] [ns]忠彦[nse] 「だからよ、そんなオメェを、俺は一人の男として認める。[r]  いや、認めてたんだよ。[r]  ……オメェになら、コイツを渡してもいい」[pcms] *2074| [fc] [ns]航[nse] 「……?」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="tadahiko_c6"][ChrSetXY layer=5 x=181 y=0][trans_c cross time=150] *2075| [fc] そう言うと、今まで見たこともない笑顔をボクに向け、[r] 彦ちんは自分の腰に手を回す。[pcms] *2076| [fc] ごそごそと腰をまさぐったあとの彦ちんの手には、[r] 一丁の拳銃が握りしめられていた。[pcms] *2077| [fc] [ns]航[nse] 「ひ、彦ちん……」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="tadahiko_c1"][ChrSetXY layer=5 x=181 y=0][trans_c cross time=150] *2078| [fc] [ns]忠彦[nse] 「コイツは、お前が使え。[r]  今のオメェには、コイツを持つ資格がある」[pcms] *2079| [fc] [ns]航[nse] 「そんなの……ボクは受け取れないよ……。[r]  それに、コースケやマル子先輩が持って……」[pcms] *2080| [fc] ボクの言葉を遮って、彦ちんがたたみかける。[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="tadahiko_c1"][ChrSetXY layer=5 x=181 y=0][trans_c cross time=150] *2081| [fc] [ns]忠彦[nse] 「いいや。コイツはお前が持て。俺が決めたんだ。[r]  他のヤツラじゃ駄目だ。お前じゃなきゃ、な」[pcms] *2082| [fc] どうしよう。[r] 銃なんて使った事もないし……。[pcms] *2083| [fc] それに、怖い。[r] 引き金を引くだけで、相手の命を奪う凶器が。[pcms] *2084| [fc] それを持つボク自体も怖い。[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="tadahiko_c1"][ChrSetXY layer=5 x=181 y=0][trans_c cross time=150] *2085| [fc] [ns]忠彦[nse] 「受け取れ。お前はこれから、感染者から悠帆たちを[r]  守らなきゃならねぇ」[pcms] *2086| [fc] [ns]忠彦[nse] 「それに、感染者だけじゃない。[r]  まともに見えるヤツラだって、[r]  こんな状態じゃ何するかわからねえからな」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="tadahiko_c3"][ChrSetXY layer=5 x=181 y=0][trans_c cross time=150] *2087| [fc] [ns]忠彦[nse] 「お前は芯は強いが、ケンカは弱いからな……。[r]  いざって時の為に取っておけ」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="tadahiko_c1"][ChrSetXY layer=5 x=181 y=0][trans_c cross time=150] *2088| [fc] 彦ちんの顔からは笑顔が消え、ボクを睨む。[pcms] *2089| [fc] 怖くはなかった。[pcms] *2090| [fc] 彦ちんがボクを睨んでいる理由は、真剣だから。[pcms] *2091| [fc] 威嚇しようとしてるんじゃなくて……。[r] 本気で、ボクに銃を預けようとしているから。[pcms] *2092| [fc] 彦ちんの気迫に押され、ボクは決意をした。[pcms] *2093| [fc] [ns]航[nse] 「彦ちん……わかったよ。ボクが、預かるよ」[pcms] *2094| [fc] 予想以上に重い銃を両手でしっかり受け取ると、[r] 彦ちんの表情は、いっそう険しくなった。[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="tadahiko_c1"][ChrSetXY layer=5 x=181 y=0][trans_c cross time=150] *2095| [fc] [ns]忠彦[nse] 「撃てるか?」[pcms] *2096| [fc] [ns]航[nse] 「……わかんないよ。[r]  撃ったことないし、手に持ったのも今が初めてだし……」[pcms] *2097| [fc] ボクと彦ちんは、手の中の銃に注目したまま、[r] しばらく黙り込んだ。[pcms] *2098| [fc] 銃を見つめたまま、彦ちんがぽつりとつぶやいた。[pcms] *2099| [fc] [ns]忠彦[nse] 「むやみに弾くんじゃねえぞ」[pcms] *2100| [fc] [ns]航[nse] 「うん……。良く狙って、慎重に撃つよ」[pcms] *2101| [fc] [ns]忠彦[nse] 「……違う。そうじゃねえ」[pcms] *2102| [fc] [ns]航[nse] 「え……」[pcms] *2103| [fc] じっと銃だけを見つめていた二人は、同時に顔を上げた。[pcms] *2104| [fc] [ns]忠彦[nse] 「引き金に指をかける時はな……そいつを弾くって事の意味を[r]  良く考えてからにしろ。考えて、考え抜いた末に引き金に[r]  指をかけたなら……あとは、絶対に迷うな。いいな?」[pcms] *2105| [fc] 弾くって事の意味?[r] 相手の事を……?[pcms] *2106| [fc] 一体、どういう事なんだろう。[pcms] *2107| [fc] [ns]忠彦[nse] 「わかったか?」[pcms] *2108| [fc] [ns]航[nse] 「あ……う、うん……」[pcms] *2109| [fc] 言われた事がイマイチ理解できなくて、[r] 少し惚けているボクの肩を彦ちんが力強く握り、[r] そのまま顔を近づけ、真っ直ぐに見つめる。[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="tadahiko_c4"][ChrSetXY layer=5 x=181 y=0][trans_c cross time=150] *2110| [fc] [ns]忠彦[nse] 「航! オメェ、気合い入れろよォ!?」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="tadahiko_c1"][ChrSetXY layer=5 x=181 y=0][trans_c cross time=150] *2111| [fc] [ns]航[nse] 「……」[pcms] *2112| [fc] ボクたちは、また無言のまま見つめ合う。[r] お互いを信頼する目つきで。[pcms] *2113| [fc] 不意に彦ちんがボクの肩を離し、くるりと背を向けた。[pcms] ;BGM即時停止 [fadeoutbgm time=500] ;//@konya char_clear [chara_int_ layer=5][trans_c cross time=150] *2114| [fc] [ns]忠彦[nse] 「あばよ……航!」[pcms] *2115| [fc] そのまま、振り返りもせず大きな声を出す彦ちん。[pcms] [bgm storage="BGM06"] *2116| [fc] あばよ……?[pcms] *2117| [fc] そんな……。[r] 彦ちんはいったい、何を……。[pcms] *2118| [fc] [ns]航[nse] 「あばよ、って……彦ちん!」[pcms] *2119| [fc] [ns]忠彦[nse] 「お前にだけしか言えねぇな……ワリィが、お前から[r]  みんなに伝えておいてくれ……あとな……[r]  ……いや、何でもない」[pcms] *2120| [fc] 彦ちん……。[r] まるで、お別れみたいな……。[pcms] *2121| [fc] 彦ちんはきっと覚悟を決めたんだ。[r] 緒織さんを助けるため、感染者のいる街へ行く事を。[pcms] *2122| [fc] 『付いて来るな』[r] 『お前は悠帆たちを守れ』[pcms] *2123| [fc] [ns]航[nse] 「彦ちん……」[pcms] *2124| [fc] ボクは彦ちんの大きな背中を、ただ見つめる事しか[r] できないでいた。[pcms] *2125| [fc] 遠くなる背中に対し、ボクは一つ気がかりな事があった。[pcms] *2126| [fc] 彦ちんは、ボクと別れるときは必ず『じゃあな』とか、[r] 『またな』を言う。[pcms] *2127| [fc] だけど、今回はそれがなかった。[r] 何も言わず立ち去るのは、今回が初めてだった。[pcms] *2128| [fc] [ns]航[nse] 「……!」[pcms] *2129| [fc] 彦ちんが言いかけた言葉は、きっと『またな』だ。[r] それを言いかけて、止めたんだ。[pcms] *2130| [fc] と言うことは、もう……?[r] 彦ちんは、ボクたちと会えないかもしれないって……。[r] 自分が死んでしまうかもしれないって考えてる?[pcms] *2131| [fc] 見送る背中は、ついには完全に闇に消えた。[r] 響いていた足音も、水の流れに消えていく。[pcms] *2132| [fc] ……いや、また会える。[r] また彦ちんに会って、いろんな話を聞くんだ![pcms] *2133| [fc] [ns]航[nse] 「兄さん!!」[pcms] *2134| [fc] 力の限り声を振り絞って、昔呼んでいた様に、[r] 『彦ちん』ではなくて『兄さん』と叫んだ。[pcms] *2135| [fc] [ns]航[nse] 「……」[pcms] *2136| [fc] だけど、いくら待っても『兄さん』からの返事はなかった。[pcms] ;システムボタン&ウィンドウ消去 [sysbt_meswin clear] ;//〆:黒画面へフェード [black_toplayer][trans_c cross time=1000][hide_chara_int] ;BGM即時停止 [fadeoutbgm time=500] ;//→ブロック40310 へ [jump storage="40310.ks" target=*40310_TOP]