*A0040_TOP ;{SceneSet 母と娘} ;//タイトル:母と娘 ;//---------------------------------------------------------- ;//file名 :A0040 ;//登場人物:主人公・真坂・能登屋・鐙・桐越 ;//服装 :私服 ;//日付 :8/3 ;//時間 :午前10時〜 ;//場所 :学園・通学路・鐙自宅整備工場・主人公自室 ;//予想容量:15kb ;//---------------------------------------------------------- ;//終業式から時間経過している。 ;//8月に突入している。 ;//※ゲームの展開の都合上 ;//---------------------------------------------------------- ;//▲ザッピングポイント: ;// 条件:プロローグクリアフラグ ;// 視点変更キャラクター:真坂 ;//※このブロックは、プロローグを通過後すぐに開放される。 [if exp="sf.g_pskip == 1"][jump storage="A0040.ks" target=*A0040_A][endif] [jump storage="A0040.ks" target=*A0040_B] ;//---------------------------------------------------------- *A0040_A ;//♂:フローチャートマップ用フラグの埋め込み ;//〆:プロローグフロー・17のマーク点灯フラグ ;//♂:ここまでセット ; ; ; ;//♪_BGM無音 [fadeoutbgm time=500] ;^ ;mm 強制ザップ頭 [black_toplayer][trans_c cross time=501][hide_chara_int] ;mm 逆移植 [zap_start sae] ;//★_通学路 朝・昼 bg05a.bmp [bg storage="bg05a"] ;[trans_c random time=1000] [trans_c cross time=1000] [ChrSetEx layer=5 chbase="ki_cA01"][ChrSetXY layer=5 x=162 y=0][trans_c cross time=150] [sysbt_meswin] *1977| [fc] [vo_sae s="sae_0070"] [ns]冴子[nse] 「ええ、だからおばさん。そういう訳でアヤが不在中でも[r]  うちの母がお手伝いに来ますから、何の心配もいらないと[r]  思います」[pcms] *1978| [fc] [vo_mob s="mitu_0001"] [ns]美津子[nse] 「…………」[pcms] ;//♂電話の向こうなので[ns]美津子[nse]の立ちキャラは無し *1979| [fc] [vo_sae s="sae_0071"] [ns]冴子[nse] 「ですので、アヤが私達と一緒にキャンプに行く事を許して[r]  いただけないでしょうか?」[pcms] *1980| [fc] [vo_mob s="mitu_0002"] [ns]美津子[nse] 「…………」[pcms] ;//♂電話の向こうなので[ns]美津子[nse]の立ちキャラは無し ;//♪_BGM05 フェードイン 嶺岸・bgm12に変更 [bgm storage="bgm12"] *1981| [fc] 冴子さんがいくら話しかけても、[r] 携帯からは何の音も聞こえて来ない。[pcms] *1982| [fc] 家で電話を受けたお母さんの姿を思い浮かべてみる。[pcms] *1983| [fc] お母さんは無言のままで。[r] 表情が見あたらない。[r] どこか虚ろな視線を空中に漂わせているだけ。[pcms] *1984| [fc] 電話の相手が冴子さんであることを認識しているかどうか。[r] それすら怪しい。[pcms] *1985| [fc] もっと笑ってくれるとか怒ってくれるとかしてくれれば、[r] 私は安心して出かける事も、取りやめにする事もが出来るのに。[r] 今のお母さんのままでは、どちらも出来ない。[pcms] *1986| [fc] [vo_aya s="aya_0130"] [ns]絢[nse] 「……」[pcms] *1987| [fc] 冴子さんが私のキャンプ行きの許しを得るために、[r] わざわざお母さんを説得するため、電話をしてくれた。[pcms] *1988| [fc] 反射的にお母さんは電話に出てくれたのだろう。[r] でも、そこから先は受話器を手に持っているだけ。[r] ……出る事までは出来た……と言うべきだろう。[pcms] *1989| [fc] いつ切り出そうかと迷っていた私にとって、冴子さんの心遣いは[r] とても嬉しかった。冴子さんだったら、お母さんの現状も[r] よくわかってくれているし……。[pcms] *1990| [fc] でも、冴子さんの声には、全く反応しない様だった。[r] このままでは埒があかない。[pcms] *1991| [fc] 私が話しかけたら、何か変わるだろうか。[pcms] *1992| [fc] [vo_aya s="aya_0131"] [ns]絢[nse] 「冴子さん、私が話してみます」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="ki_cA05"][ChrSetXY layer=5 x=162 y=0][trans_c cross time=150] *1993| [fc] 冴子さんは、お母さんに一言『代わります』と言ったあと、[r] 私に無言で携帯を差し出した。[pcms] [chara_int][trans_c cross time=150] *1994| [fc] [vo_aya s="aya_0132"] [ns]絢[nse] 「お母さん……冴子さんのお話、わかってくれたの?」[pcms] *1995| [fc] [vo_mob s="mitu_0003"] [ns]美津子[nse] 「…………え、え。……絢が……私を置いてどこかに……[r]  行きたいの……ね」[pcms] *1996| [fc] 私の声を聴いて、お母さんはやっと返事をしてくれた。[pcms] *1997| [fc] でも、その声はたどたどしく、ただ呟いているだけのようだった。[r] やはり、しっかりと話の内容を受け止め切れていないみたい。[pcms] *1998| [fc] 携帯から漏れる母の返事に気がついた冴子さんは、[r] 目で『携帯を戻して』と合図を送ってきた。[pcms] *1999| [fc] 携帯は、再び冴子さんの手に渡る。[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="ki_cA01"][ChrSetXY layer=5 x=162 y=0][trans_c cross time=150] *2000| [fc] [vo_sae s="sae_0072"] [ns]冴子[nse] 「置いていくわけではないですよ、おばさん。三日経ったら[r]  ちゃんと帰宅します。どこかに行くというのは、県内の[r]  キャンプ場です。それほど遠くない場所ですよ」[pcms] *2001| [fc] [vo_mob s="mitu_0004"] [ns]美津子[nse] 「……そう。戻ってきては……くれるのね。……良かったわ。[r]  でも、絢がいないあいだ……何かあったら……。[r]  絢に何かあったら、私はどうしたら…………ぅっ……」[pcms] *2002| [fc] 携帯越しに聞こえる、お母さんの声。[pcms] *2003| [fc] 涙で震えているのが、この距離でもわかる。[r] ひとりになるかもしれないとわかると、お母さんは[r] いつも泣いてしまう。[pcms] *2004| [fc] これまでにも、学園に行く時でさえ、時々そういう事があった。[pcms] *2005| [fc] お母さんはひとりきりになる事に、恐怖心を持っているようだ。[r] と、以前掛り付けのお医者さんに言われた。[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="ki_cA02"][ChrSetXY layer=5 x=162 y=0][trans_c cross time=150] *2006| [fc] [vo_sae s="sae_0073"] [ns]冴子[nse] 「大丈夫ですよ。必ず無事に帰ってきますし、[r]  アヤが居ないあいだは、私の母が毎日こちらに来ますから。[r]  ひとりきりになる事は、一日に数時間だけですよ」[pcms] *2007| [fc] [vo_sae s="sae_0074"] [ns]冴子[nse] 「今までアヤが学園に通っていたときと同じですよ。[r]  それも三日間だけですから」[pcms] *2008| [fc] [vo_mob s="mitu_0005"] [ns]美津子[nse] 「……絢……そうなの?」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="ki_cA01"][ChrSetXY layer=5 x=162 y=0][trans_c cross time=150] *2009| [fc] お母さんは、ようやく話の内容が理解できたのか、[r] 私に質問をしてきた。[r] 宙ぶらりんになっていた意識が、ようやく定まってくれたみたい。[pcms] *2010| [fc] 出来るだけ、良く聞こえるようにと、携帯に向かい、大きな声で、[r] お母さんを説得するように話しかける。[pcms] *2011| [fc] [vo_aya s="aya_0133"] [ns]絢[nse] 「ええ、お母さん。三日経ったらちゃんと帰ってくるから。[r]  だからお願い。お友達とキャンプに行かせて欲しいの」[pcms] *2012| [fc] [vo_mob s="mitu_0006"] [ns]美津子[nse] 「……お友達……」[pcms] *2013| [fc] [vo_mob s="mitu_0007"] [ns]美津子[nse] 「そう……お友達が出来たのね、絢に。お友達が一緒なのね。[r]  ……お友達は大事にしないと……ね。なら安心できるわ。[r]  ええ……お母さん待ってるから、いってらっしゃい、絢」[pcms] *2014| [fc] [vo_aya s="aya_0134"] [ns]絢[nse] 「本当に? ありがとう、お母さん」[pcms] *2015| [fc] [vo_mob s="mitu_0008"] [ns]美津子[nse] 「……ええ。お友達は大事よ。とても……ね。[r]  だから、いってらっしゃい。[r]  ……冴子ちゃん、絢をよろしくお願いしますね……」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="ki_cA02"][ChrSetXY layer=5 x=162 y=0][trans_c cross time=150] *2016| [fc] [vo_sae s="sae_0075"] [ns]冴子[nse] 「はい、もちろんです。安心してまかせてください。[r]  母もそのあいだ毎日来ますから、たまには母の愚痴でも[r]  聴いてやってくださいね、おばさん」[pcms] *2017| [fc] [vo_mob s="mitu_0009"] [ns]美津子[nse] 「……ええ、楽しみね……」[pcms] [chara_int][trans_c cross time=150] *2018| [fc] 最近、少しのあいだだけれど表情が戻る事が多くなってきた。[r] 時々、私の事を見つめて話しもしてくれるようにもなってきた。[r] 以前のようなお母さんに早く戻って欲しい。[pcms] *2019| [fc] そう何年も思い続けてきて、ちょっとだけだけれど[r] ようやく最近、本当のお母さんを感じられる事が多くなってきた。[r] 徐々に良い方向に向かっていると信じたい。[pcms] *2020| [fc] お母さんの事を嫌いなわけじゃない。[pcms] *2021| [fc] でも、何年ものあいだ、私はお母さんのためだけに生きてきた[r] ような気が、特にここ最近思うようになってきていた。[pcms] *2022| [fc] 少しでもいいからお母さんから解放されたい。[r] でも、お母さんをひとりきりにするのは、とても心配。[r] そのふたつの気持ちの中で私は、揺れ続けていた。[pcms] *2023| [fc] だから、キャンプに行ける事が決まって嬉しい。[r] 煮詰まりかけている、私の気持ちを少しでも解放して[r] 楽にしてあげたい。[pcms] *2024| [fc] そうすれば、この先もお母さんと一緒に[r] 暮らしていけそうな気がする。[pcms] *2025| [fc] そんな……気がする……。[pcms] *2026| [fc] お母さんの事を、申し訳ないけれど少しの間だけ忘れさせて[r] もらおう……。私だけのために、時間を使わせてもらおう。[r] 友達……と、楽しく過ごさせてもらおう。[pcms] *2027| [fc] 今年の夏休みは、きっと思い出深い、今までにない夏休みに[r] なりそうな予感がしていた。[pcms] ;[zapend_random] [zapfade] ;//〆:ザッピングここまで ;//〆:メインルートへ [jump storage="A0040.ks" target=*A0040_B] ;//---------------------------------------------------------- *A0040_B ;//〆:メインルート ;//♂:フローチャートマップ用フラグの埋め込み ;//〆:プロローグフロー・8のマーク表示フラグ ;//〆:プロローグフロー・8のマーク点灯フラグ ;//♂:ここまでセット ; ; ; ;//♪_BGM01 [bgm storage="bgm01"] ;//★_鐙モータース前 朝・昼 bg09a.bmp [bg storage="bg09a"][trans_c cross time=500] ;//システムアイコン表示&メッセージウィンドウ表示 [sysbt_meswin] *2028| [fc] [ns]大介[nse] 「ふう……」[pcms] *2029| [fc] 俺は額ですじを作って落ちる汗の玉をぬぐいながら、[r] 作業を続けていた。今は俺ひとりきりの作業だ。[pcms] *2030| [fc] マコトは出かけている。[r] 明後日になれば、東京の親戚のおばさんがやってくるので[r] それに向けての準備の買い出しにかり出されていた。[pcms] *2031| [fc] 俺は留守番を兼ねて、ガレージで作業をさせてもらっていた。[pcms] *2032| [fc] もっとも、マコトはそれほど時間掛からずに戻ってこられるとは[r] 言っていた。[pcms] *2033| [fc] オヤジさんたちも居るから、留守番といっても[r] 気楽なものだった。[pcms] *2034| [fc] 夏休みに入ってから、俺は可能な限りガレージに詰めて、[r] もくもくと作業を続けていた。それまでの遅れを取り戻すために。[pcms] *2035| [fc] もちろん、マコトも付いていてくれて、相変わらずの仁王立ちを[r] 披露してくれていた。梢もちょくちょくやってきて、[r] 冷たい飲み物なんかを差し入れてくれていた。[pcms] *2036| [fc] 当然だろうけれど、親の反応は良くない。[pcms] *2037| [fc] 『また出かけるのっ!』とか『ちゃんと勉強はやってるの?』[r] など、出掛けにも帰宅後にも何か二言三言付いて回っている。[pcms] *2038| [fc] 時々反論したくなって、爆発しそうになるけれど、[r] でも、それも完成するまでの我慢だ。[pcms] *2039| [fc] 完成したら、俺の意思表示として見せつけてやるんだ。[pcms] ;//◆_レストア中のバイク ETC_N105 [evcg storage="ETC_N105b"][trans_c cross time=300] *2040| [fc] たぶんあと10日もすれば、こいつ『SR』は仕上がるだろう。[r] 残っているのはエンジンの吸気系のみだ。[r] 細かく言えば、キャブレターの分解整備と点火系の調整。[pcms] *2041| [fc] まあ、一番注意を払いたい部分だから、慎重に進めたいと[r] 思っている。それでも、塗装も含めて、完成するまでには、[r] あと10日もあれば大丈夫だろう。[pcms] *2042| [fc] 明後日からはキャンプに出かけるから、しばらく止まってしまう。[r] でも、帰ってきてからまた作業を開始すれば、残りの夏休みを[r] 楽しむのにも十二分な日数が得られる予定でいた。[pcms] *2043| [fc] [vo_aya s="aya_0135"] [ns]絢[nse] 「……あの、こんにちは……」[pcms] ;//★_鐙モータース前 朝・昼 bg09a.bmp [bg storage="bg09a"][trans_c cross time=500] [ChrSetEx layer=5 chbase="ma_bA01"][ChrSetXY layer=5 x=162 y=0][trans_c cross time=150] *2044| [fc] ふいの言葉に振り向くと、真坂さんが入り口に立っていた。[r] 手にはなにやら荷物を持っている。[pcms] *2045| [fc] 俺は工具を置いて、真坂さんに声を掛けた。[pcms] *2046| [fc] [ns]大介[nse] 「やあ、いらっしゃい。っても、ここはマコトんちだけどさ」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="ma_bB01"][ChrSetXY layer=5 x=162 y=0][trans_c cross time=150] *2047| [fc] [vo_aya s="aya_0136"] [ns]絢[nse] 「迷惑じゃなかったかしら……。[r]  その、買い物の帰りに立ち寄ってみたのだけれど……」[pcms] *2048| [fc] [ns]大介[nse] 「迷惑なんかじゃないよ。いつでもおいでってマコトも言ってた[r]  だろう? まあ、マコトは今買い物に行ってて不在だけどね。[r]  マコトが居たら、もっと大歓迎だったと思うよ」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="ma_bA01"][ChrSetXY layer=5 x=162 y=0][trans_c cross time=150] *2049| [fc] [vo_aya s="aya_0137"] [ns]絢[nse] 「……ありがとう。そう……眞琴さん、出かけてるの……」[pcms] *2050| [fc] [ns]大介[nse] 「ん? マコトに何か用事だったの?」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="ma_bB01"][ChrSetXY layer=5 x=162 y=0][trans_c cross time=150] *2051| [fc] [vo_aya s="aya_0138"] [ns]絢[nse] 「え? あ、いいえ。そういう訳ではなくて、その……。[r]  れすとあ……進んでいるのかなって、気になったものだから」[pcms] *2052| [fc] [ns]大介[nse] 「そうなんだ。じゃあ、そんな入り口にいないで、[r]  入っておいでよ。遠慮はいらないからさ」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="ma_bA01"][ChrSetXY layer=5 x=162 y=0][trans_c cross time=150] *2053| [fc] [vo_aya s="aya_0139"] [ns]絢[nse] 「はい……お邪魔……しますね」[pcms] ;//★_鐙モータース前 朝・昼(拡大) bg09a.bmp [bg storage="bg38a"][trans_c cross time=500] *2054| [fc] 夏休みに入って、初めて真坂さんが訪れてくれた。[r] たとえ買い物のついで、だとしても俺は正直嬉しかった。[r] 作業の進み具合を気にしてくれたのも、嬉しい。[pcms] *2055| [fc] 終業式のあの日以来、いつ来るのかと、実は待っていた。[r] 俺だけじゃなくて、マコトもだ。[pcms] *2056| [fc] もちろんキャンプで会えるのはわかっていたけれど、それまでに[r] 少しでも、なんと言うか、友達密度ってのを上げておきたかった。[pcms] *2057| [fc] 俺とマコト、そして時々梢も一緒にそんな事を話していた。[pcms] *2058| [fc] でも、俺だけでなくみんなも、薄々真坂さんには[r] 何か家庭の事情ってやつがあるようだと感づいていた。[r] だから、こちらから訪ねたり誘い出すのは、はばかられた。[pcms] *2059| [fc] それだけに、真坂さんがようやくガレージを訪ねてくれたのは、[r] 本当に嬉しかった。[r] マコトも早く帰ってくればいいのにな。[pcms] *2060| [fc] [ns]大介[nse] 「どう? バイクっぽくなってきただろ?」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="ma_bA02"][ChrSetXY layer=5 x=162 y=0][trans_c cross time=150] *2061| [fc] [vo_aya s="aya_0140"] [ns]絢[nse] 「ええ……本当に。前に見せてもらった時は、骨組みだけで……[r]  その、バイクの骸骨みたいだなあって思いました。でも、今は[r]  ずいぶん筋肉や内臓が付いてきた感じですね」[pcms] *2062| [fc] なかなか面白い表現だと思った。言い得て妙だとは思うけれど、[r] 女の子の口から、骸骨だとか筋肉だとか、ましてや内臓なんて[r] 言葉が飛び出してくるとは思わなかった。[pcms] *2063| [fc] さすが……ホラー小説読んで、敵に反撃するなんて発想を[r] するだけの事はあるな。変な感心の仕方ではあるけれど。[pcms] *2064| [fc] [ns]大介[nse] 「ははは。確かにそうだね。もうすぐ完成して墓場から蘇って[r]  くれるはずだよ」[pcms] *2065| [fc] [vo_aya s="aya_0141"] [ns]絢[nse] 「そうなんですか? いつ頃になるんですか?」[pcms] *2066| [fc] [ns]大介[nse] 「んー、そうだな。あと10日ぐらいかなって思っている。[r]  今、肝心要の心臓にこれから手を入れようってところなんだ」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="ma_bA01"][ChrSetXY layer=5 x=162 y=0][trans_c cross time=150] *2067| [fc] [vo_aya s="aya_0142"] [ns]絢[nse] 「心臓……?」[pcms] *2068| [fc] [ns]大介[nse] 「うん。エンジン部分の事だよ。[r]  こいつがしっかり働かなかったら動かないからね」[pcms] *2069| [fc] [vo_aya s="aya_0143"] [ns]絢[nse] 「ここに並べてあるのがそうなんですか?」[pcms] [chara_int][trans_c cross time=150] *2070| [fc] 真坂さんは手に持っていた荷物を、いつも梢が座っている椅子に[r] 置いて、かがみ込むようにして俺のすぐ隣で作業している場所を[r] のぞき込んできた。[pcms] *2071| [fc] さらりと黒髪が揺れて、前方に傾く。[r] 顔を覆いそうになるのを真坂さんの細い指が掻き上げて[r] 耳に留めた。形の良い白い耳がのぞいていた。[pcms] *2072| [fc] 俺はその何気ない仕草と、肌の白さにドキドキしながら、[r] 真坂さんの凛とした横顔に見とれてしまっていた。[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="ma_bA07"][ChrSetXY layer=5 x=162 y=0][trans_c cross time=150] *2073| [fc] [vo_aya s="aya_0144"] [ns]絢[nse] 「仙道君……?」[pcms] *2074| [fc] [ns]大介[nse] 「え? あ、ごめんごめん。えっとね……そう。[r]  並べて置いておいた方が、組み上げるのにも整備するのにも[r]  わかりやすからね。えっと、それぞれ説明しようか?」[pcms] *2075| [fc] もしかしたら、俺の声は少しうわずっていたかもしれない。[pcms] *2076| [fc] こくんと頷く真坂さんに促されて、俺は部品の説明を[r] 始める事にした。[pcms] *2077| [fc] [ns]大介[nse] 「これは、キャブレターっていってガソリンと空気を[r]  調合してくれる部分なんだ」[pcms] *2078| [fc] [vo_aya s="aya_0145"] [ns]絢[nse] 「調合……?」[pcms] *2079| [fc] [ns]大介[nse] 「そう。混合気ってのを作るんだ。そうだなあ……ガソリンを[r]  霧吹きみたいな感じで噴射して空気と混ぜて、その作り出した[r]  物に火花で着火して爆発させて、エンジンを回すんだ」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="ma_bA01"][ChrSetXY layer=5 x=162 y=0][trans_c cross time=150] *2080| [fc] [vo_aya s="aya_0146"] [ns]絢[nse] 「…………」[pcms] *2081| [fc] 俺の話を聴きながら、真坂さんは小首をかしげたり、頷いたり、[r] 考え込むような表情を見せていた。[pcms] *2082| [fc] でも、時々だけれど、俺の話が耳に入らないかのように、[r] どこか目が遠くを見つめてもいた。[pcms] *2083| [fc] 俺は気になったけれどあえて気が付かないようにして、[r] 話を続けていた。[pcms] *2084| [fc] [ns]大介[nse] 「まあ、ざっとこんなところかな。[r]  説明があんまり上手じゃなくて、ごめんな」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="ma_bA02"][ChrSetXY layer=5 x=162 y=0][trans_c cross time=150] *2085| [fc] [vo_aya s="aya_0147"] [ns]絢[nse] 「え? あ、いいえ。そんなことないです」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="ma_bA04"][ChrSetXY layer=5 x=162 y=0][trans_c cross time=150] *2086| [fc] [vo_aya s="aya_0148"] [ns]絢[nse] 「…………」[pcms] *2087| [fc] [ns]大介[nse] 「……どうかした?」[pcms] *2088| [fc] [vo_aya s="aya_0149"] [ns]絢[nse] 「……どこか……遠くに……行きたい……」[pcms] *2089| [fc] [ns]大介[nse] 「え?!」[pcms] *2090| [fc] 急で思いもよらない言葉が真坂さんの唇から漏れて、[r] 俺は思わず大きな声で、聞き返してしまっていた。[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="ma_bB01"][ChrSetXY layer=5 x=162 y=0][trans_c cross time=150] *2091| [fc] [vo_aya s="aya_0150"] [ns]絢[nse] 「あ……いえ……もう、帰らないと」[pcms] *2092| [fc] 真坂さんはくるっと踵を返して、椅子から荷物を取ろうとした。[pcms] *2093| [fc] 俺は、なんだか気持ちがざわざわして、とっさに駆けだし、[r] 真坂さんの手が伸びるよりも早く荷物を手に取っていた。[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="ma_bA06"][ChrSetXY layer=5 x=162 y=0][trans_c cross time=150] *2094| [fc] [vo_aya s="aya_0151"] [ns]絢[nse] 「……仙道君?」[pcms] *2095| [fc] [ns]大介[nse] 「ちょうどさ、ひと息つきたいと思ってたんだ。[r]  送ってくよ、真坂さん。荷物重そうだから俺が持つよ」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="ma_bB02"][ChrSetXY layer=5 x=162 y=0][trans_c cross time=150] *2096| [fc] [vo_aya s="aya_0152"] [ns]絢[nse] 「いえ、そんな。大丈夫です。それに……」[pcms] *2097| [fc] [ns]大介[nse] 「家が小さいとか古いとか、言いっこなしだよ。俺は気にしない。[r]  今日は送らせてよ。読書感想を聴かせてくれた仲だろ?」[pcms] *2098| [fc] 俺は真坂さんの返事を待たずに、荷物を持って[r] ガレージの入り口を目指した。[r] 数歩遅れる感じで、真坂さんの足音が俺を追ってきていた。[pcms] ;//♪_BGM01 フェードアウト [fadeoutbgm time=500] ;^ ;//システムアイコン消去&メッセージウィンドウ消去 [sysbt_meswin clear] ;//♯_ブラックアウト [black_toplayer][trans_c blind_lr time=1000][hide_chara_int] [wait time=300] ;//♪_BGM15 フェードイン [bgm storage="bgm15"] ;//★_通学路 夕方 bg05b.bmp [bg storage="bg05b"][trans_c blind_lr time=1000] ;//システムアイコン表示&メッセージウィンドウ表示 [sysbt_meswin] *2099| [fc] 道に出たところで、足を止めて俺は真坂さんを振り返る。[r] 真坂さんが追いつくのを待って、はっきりと宣言した。[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="ma_bA04"][ChrSetXY layer=5 x=162 y=0][trans_c cross time=150] *2100| [fc] [ns]大介[nse] 「途中までの道は、ちゃんと覚えてるから大丈夫。[r]  今日は、その先までちゃんと送らせてもらうよ、真坂さん」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="ma_bA01"][ChrSetXY layer=5 x=162 y=0][trans_c cross time=150] *2101| [fc] [vo_aya s="aya_0153"] [ns]絢[nse] 「……はい。お願いします」[pcms] *2102| [fc] 覚悟を決めたような、なんだか真剣な目つきで真坂さんが答える。[pcms] *2103| [fc] 答えながら俺の横に、学園からの帰り道と同じように並んで[r] くれたので、俺は歩みを進める事にした。[pcms] *2104| [fc] [ns]大介[nse] 「今日も、暑かったね」[pcms] *2105| [fc] [vo_aya s="aya_0154"] [ns]絢[nse] 「ええ……」[pcms] *2106| [fc] 努めて当たり障りのない様な話を振ったけれど、真坂さんの[r] 表情は固いままで、それでも言葉は少ないながらも[r] 俺の問いかけに答え続けてくれていた。[pcms] ;//システムアイコン消去&メッセージウィンドウ消去 [sysbt_meswin clear] ;//♯_ブラックアウト(時間経過) [black_toplayer][trans_c blind_lr time=1000][hide_chara_int] [wait time=300] ;//★_真坂自宅前 夕方 bg13b.bmp [bg storage="bg13b"][trans_c blind_lr time=1000] ;//システムアイコン表示&メッセージウィンドウ表示 [sysbt_meswin] *2107| [fc] 真坂さんの家は、だいぶん古びた集合住宅だった。[pcms] *2108| [fc] 無機質な、機能優先で外観のデザインなんてほとんど考えて[r] いないような、箱がいくつも積み重なったような四角さ。[pcms] *2109| [fc] 外側は確かに真坂さんが言うように古びている。[pcms] *2110| [fc] 中もきっと真坂さんが言うように、こぢんまりとした[r] 作りなんだろう。[pcms] *2111| [fc] 昭和40年代に相次いであちこちに立てられた団地群に[r] 似ている気がした。いつだったか、ふいにたどり着いた[r] どこかのホームページで見た光景だった。[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="ma_bA01"][ChrSetXY layer=5 x=162 y=0][trans_c cross time=150] *2112| [fc] [vo_aya s="aya_0155"] [ns]絢[nse] 「あの……ここで」[pcms] *2113| [fc] それぞれの家をつなぐ階段。入り口に設置されている[r] 部屋番号のついたサビの浮いているポスト。[r] それらを背後の遠景にして真坂さんは立っていた。[pcms] *2114| [fc] [ns]大介[nse] 「うん……階段上るんだったら、家の前まで持って行くよ?」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="ma_bA04"][ChrSetXY layer=5 x=162 y=0][trans_c cross time=150] *2115| [fc] [vo_aya s="aya_0156"] [ns]絢[nse] 「いえ、大丈夫です。本当に、ここで」[pcms] *2116| [fc] [ns]大介[nse] 「……うん、わかった」[pcms] [chara_int][trans_c cross time=150] *2117| [fc] 俺が荷物を渡すと真坂さんはぺこりと頭を下げて、くるりと[r] 階段の方へと方向転換して、去っていく。[pcms] *2118| [fc] 数歩進んだところで、急に真坂さんの歩みがびくりとした感じで[r] 止まった。[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="ma_bA06"][ChrSetXY layer=5 x=162 y=0][trans_c cross time=150] *2119| [fc] [vo_aya s="aya_0157"] [ns]絢[nse] 「……ぁっ……!」[pcms] *2120| [fc] [ns]大介[nse] 「どうかした? 真坂さん?」[pcms] *2121| [fc] [vo_aya s="aya_0158"] [ns]絢[nse] 「い、いいえ、なんでもないです。[r]  本当に今日はありがとうございました、仙道君」[pcms] [chara_int][trans_c cross time=150] *2122| [fc] 真坂さんは振り向きながら答えて、そこから先は小走りで[r] 入り口を目指していた。[pcms] *2123| [fc] [ns]大介[nse] 「また、明日な…………あのさー」[pcms] *2124| [fc] 真坂さんの足がふたたび止まり、顔だけ振り返る。[pcms] *2125| [fc] [ns]大介[nse] 「キャンプ終わったら……」[pcms] [ChrSetEx layer=5 chbase="ma_bA07"][ChrSetXY layer=5 x=162 y=0][trans_c cross time=150] *2126| [fc] [vo_aya s="aya_0159"] [ns]絢[nse] 「……?」[pcms] *2127| [fc] [ns]大介[nse] 「いや、いいんだ。じゃあ、またな」[pcms] [chara_int][trans_c cross time=150] *2128| [fc] 真坂さんは一瞬いぶかしげな顔をしたあと、すぐにまた[r] 小走りで入り口を目指し、トントントンと階段を[r] 駆け上がっていった。[pcms] *2129| [fc] 階段の薄暗闇に消える真坂さんの後ろ姿を見送ってから、[r] 俺も方向転換して、またガレージへと戻る事にした。[pcms] *2130| [fc] [vo_aya s="aya_0160"] [ns]絢[nse] 「……ぉかぁさん……早……入ろ……」[pcms] ;//○(お母さん、早く入ろうね と、言っています) *2131| [fc] 俺の後頭部に上から真坂さんの小さな声が降ってきた。[pcms] *2132| [fc] 振り返って見上げると、鉄製の扉に真坂さんが入っていく横顔が[r] ちらりとだけ見えた。[pcms] ;//#_ブラックアウト ;//井上 ここでは処理しない ;//♂:フローチャートマップ用フラグの埋め込み ;//〆:プロローグフロー・9のマーク表示フラグ ;//〆:プロローグフロー・18のマーク表示フラグ ;//♂:ここまでセット ;//井上 ここでは2つとも点灯しない ;//---------------------------------------------------------- ;//▲ザッピングポイント: ;// 条件:プロローグクリアフラグ ;// 視点変更キャラクター:真坂 ;//プロローグクリアフラグが非成立の場合は、 ;//〆:ジャンプ・A0050へ ;//※このブロックは、プロローグを通過後すぐに開放される。 [if exp="sf.g_pskip == 1"][jump storage="A0040.ks" target=*A0040_C][endif] [jump storage="A0040.ks" target=*A0040_D] ;//---------------------------------------------------------- *A0040_C ;//♂:フローチャートマップ用フラグの埋め込み ;//〆:プロローグフロー・18のマーク点灯フラグ ;//♂:ここまでセット ; ; ; [sysbt_meswin clear] [fadeoutbgm time=500] ;^ //★_黒画面 ;[black_toplayer][trans_c random time=1000][hide_chara_int] [black_toplayer][trans_c cross time=1000][hide_chara_int] ;mm 逆移植 [zap_start aya] ;//♪_BGM15 継続 [bgm storage="bgm15"] ;[black_toplayer][trans_c cross time=500][hide_chara_int] ;//★_真坂自宅前 夕方 bg13b.bmp ;mm [bg storage="bg13b"][trans_c cross time=500] [sysbt_meswin] *2133| [fc] 『また明日な』[r] 仙道君のさりげない言葉が嬉しかった。[r] 意を決して、ガレージを訪ねてみて良かった。[pcms] *2134| [fc] 本当は、お母さんの許可が下りた事を言おうと[r] 思っていたのだけれど、事情を知らない仙道君たちに[r] 言っても仕方がない事だと、仙道君に会って気が付いた。[pcms] *2135| [fc] 終業式の日、眞琴さんの家で、すでに私はキャンプに[r] 参加すると返事をしていたのだから、仙道君たちにとっては、[r] いまさらな事でもあるのだと、気が付いてしまった。[pcms] *2136| [fc] 仙道君は何を言おうと思っていたのかしら……。[pcms] *2137| [fc] 『キャンプが終わったら……』[r] その後に続く言葉はなんだったんだろう……。[pcms] *2138| [fc] はっきりとはわからないけれど、でも、仙道君が[r] 私の事を気に掛けてくれているのは感じられた。[r] 少し嬉しい……。[pcms] *2139| [fc] 少しだけ、笑い合って暮らしている幸せなひとたちに[r] 近づいたような気がしていた。[pcms] *2140| [fc] [vo_mob s="mitu_0010"] [ns]美津子[nse] 「絢……いないの? どこに行ったの? うううっ」[pcms] *2141| [fc] 居間からお母さんの私を捜すいつもの声が聞こえてきた。[pcms] *2142| [fc] さっき階段の踊り場に立っていたのも、きっと私を捜して[r] ふらふらと部屋を出てしまったからに違いない。[pcms] *2143| [fc] 定まらない視線と、ふわふわとした身体の揺れに私は[r] そこから落ちたらどうしようと、駆け足になってしまっていた。[pcms] *2144| [fc] 本当だったら、もっとちゃんと仙道君にお礼を言って、[r] きちんとお別れの挨拶を面と向かって言ってから[r] 家に入りたかった。[pcms] *2145| [fc] [vo_mob s="mitu_0011"] [ns]美津子[nse] 「……絢……? あやぁぁ!」[pcms] *2146| [fc] お母さんの声が泣きながらの叫び声に変っていた。[r] 私はいつものように、なだめる為に声を掛けた。[pcms] *2147| [fc] [vo_aya s="aya_0161"] [ns]絢[nse] 「お母さん、私ここにいるわよ。待ってて、そっちに行くから」[pcms] *2148| [fc] 思わずため息が漏れる。[r] 少し良い兆候が見えても、また元に戻ってしまう。[r] それの繰り返し……。[pcms] *2149| [fc] どこか遠くに行きたい。[r] お母さんを忘れてしまえたらいいのに。[r] 少しでも自分だけの時間が欲しい……。[pcms] *2150| [fc] 誰でもいいから、私をこの状況から連れだして欲しい。[pcms] ;[zapend_random] [zapfade] ;//〆:ザッピングここまで [jump storage="A0050.ks" target=*A0050_TOP] ;//---------------------------------------------------------- *A0040_D ;//〆:ジャンプ・A0050へ [jump storage="A0050.ks" target=*A0050_TOP]