;//_______________________________________ ;//シーン名 :『織られる不安』 ;//file名 :0210 ;//登場人物 :主人公 ;//服装 :制服 ;//日付 :7月17日 ;//時間 :1時以降 ;//場所 :主人公の部屋(時間:夜) ;//予想容量 :全体を通して5K前後 ;//備考 :主人公一人称視点 ;//_______________________________________ *0210_TOP ;{SceneSet 織られる不安} ;//bgm03.ogg [bgm storage="BGM03"] ;//★room02a 誠の部屋 [bg storage="room02a"][trans_c cross time=500] ;//システムアイコン&メッセージウィンドウ表示 [sysbt_meswin] *2938| [fc] 僕は、今日何度目になるのか、[r] 深夜の賢者タイムを迎えていた。[pcms] *2939| [fc] そーいちに教えてもらったコスプレ写真サイトを[r] 見に行ったせいで、魂から煩悩が抜け落ちている。[pcms] *2940| [fc] ベッドで仰向けになりながら、[r] 僕は天井を眺めていた。[pcms] *2941| [fc] 一日に、こんな何回もしちゃって、[r] 頭が変になっちゃう。[pcms] *2942| [fc] ミルクタンクがフル回転で製造を行っていると思うと、[r] 空打ちばっかりで申し訳なかった。[pcms] *2943| [fc] そういえば、後でオナペットランキングの順位を[r] 更新しておかないと。[pcms] *2944| [fc] 隠れ一位の姉ちゃんは不動のポジションだけど、[r] 後は気分で変わったりもする。[pcms] *2945| [fc] カレーを食べたい日もあれば、[r] ラーメンを食べたい日もあるということだ。[pcms] *2946| [fc] 頭の中にさっきのそーいちの言葉が思い返された。[pcms] *2947| [fc] [ns]誠[nse] 「いいことが重なり過ぎていて、少し恐い、か……」[pcms] *2948| [fc] 確かに、少し恐い。[pcms] *2949| [fc] 良いこと、楽しいことが起こるたびに、[r] 僕は不安の影を色濃く感じ取っていた。[pcms] *2950| [fc] ベッドサイドに伏せてある写真立てを、[r] 片手で起こしてみる。[pcms] ;//■イベントCG mob_N007 写真立て [evcg storage="mob_N007a"][trans_c cross time=300] *2951| [fc] そこには、今とは違う過去の自分が暮らしていたことの証、[r] 存在していた証明の全てが詰まっていた。[pcms] *2952| [fc] 簡素な飾り気のない写真立てに、[r] 家族の写真と友達の写真が収まっている。[pcms] *2953| [fc] 家族写真は色の[ruby text="あ"]褪せた、すごく古いものだった。[pcms] *2954| [fc] 若い頃の父と母と、幼い頃の何も知らない自分が[r] 屈託のない表情で笑っている。[pcms] *2955| [fc] 並んで立っている父と母は、あまりにも若すぎて[r] 僕の記憶にあるその姿とは、少し違って見えていた。[pcms] *2956| [fc] その若い母親に背中から手を回してもらい、[r] こぼれそうな笑顔を見せている自分。[pcms] *2957| [fc] 後ろには、なにか大きな木と、その由来や[r] 解説が書かれているらしい看板が立っていた。[pcms] *2958| [fc] 友人との写真は最近のものだけど、画質が悪く、[r] 一目でケータイで撮ったとわかる画像だ。[pcms] *2959| [fc] 左右にサッカー部と野球部のユニフォームを着た少年が立ち、[r] そして真ん中にYシャツに学生ズボンの僕の姿があった。[pcms] *2960| [fc] どれも嘘や幻じゃない、過去の自分が体験した[r] 一瞬を切り抜いたものだ。[pcms] *2961| [fc] もう二度とは戻らない、再現することも不可能な[r] 過去の一瞬。[pcms] *2962| [fc] いずれ、記憶からも無くなってしまう、[r] [ruby text="はかな"]儚い一瞬だった。[pcms] *2963| [fc] 僕に家族と友人がいたという記録は、[r] この写真立ての中にしか残されていない。[pcms] *2964| [fc] この写真立てに登場する人物は……、[r] 僕以外、全て人生から退場してしまっていた。[pcms] ;//■イベントCG mob_N007 写真立て [evcg storage="mob_N007b"][trans_c cross time=300] *2965| [fc] 家族写真は、あの日からしばらくして、[r] 姉ちゃんが調査作戦に参加した折りに、[r] 廃墟になった基地のロッカーから回収してきたものだ。[pcms] *2966| [fc] 父さんが、こんな写真をロッカーに入れていたんだと思うと、[r] 胸が切なくなってくる。[pcms] *2967| [fc] 僕は、父さんが子供を愛する気持ちと同じくらい、[r] 父親を愛せていたんだろうか。[pcms] *2968| [fc] こんな愛を受けられるような資格を、[r] 持ち合わせていたんだろうか。[pcms] *2969| [fc] 姉ちゃんは、この持ち出しが重大な違反であることを承知で、[r] 僕のために持ってきてくれたんだ。[pcms] *2970| [fc] 愛されている感覚と、それに応えられない空虚な気持ちが、[r] 僕の胸の中でせめぎ合う。[pcms] *2971| [fc] 友人の写真は、壊れた自分の携帯のメモリに残っていたものを、[r] プリントアウトした代物だった。[pcms] *2972| [fc] 彼らのことを思い出してやれる人間が、[r] この世に何人いるんだろうか。[pcms] *2973| [fc] ついこの前まで、一緒に時を刻んでいたはずなのに。[pcms] *2974| [fc] 4年前の明田での生活が、なんだか夢の中の出来事のように[r] 思えてくる。[pcms] *2975| [fc] まるで、他人の人生か前世の記憶のようにあやふやで、[r] ぼんやりとしたものになっていた。[pcms] *2976| [fc] それは、自分の惨めさや哀れさを保護する脳の機能ではなく、[r] 半分以上が事実なんだろう。[pcms] *2977| [fc] 人間は社会を構築する、社会性の生き物だ。[pcms] *2978| [fc] 自分を自分たらしめていた証や存在の、[r] ほぼすべてが破壊されて消え失せている。[pcms] *2979| [fc] それは僕という存在のほとんどが破壊されてしまったのと、[r] 意味合い的に変わらない。[pcms] *2980| [fc] ある日、僕一人が死んで、存在の証が終わってしまうのと、[r] ある日、僕以外の全てが死んで、存在を証明するものが[r] 無くなることは同じなんだと思う。[pcms] *2981| [fc] 自分は、自覚もないまま、望むと望まざるとに関わらず、[r] 違う人間になってしまったに違いない。[pcms] *2982| [fc] 明田で生活していた僕と、今の僕は違う存在なんだ。[pcms] *2983| [fc] それに、自分には『あの日』の記憶がない。[pcms] *2984| [fc] 恐ろしい事件が起きたというイメージは残っているけれど、[r] 具体的に何があったのか判然としなかった。[pcms] *2985| [fc] そのせいで、より一層『あの日』以前と、[r] 今との隔絶を感じてしまうんだろう。[pcms] *2986| [fc] 夜ベッドで眠りについて、朝起きたら、[r] みんなが死んでいる世界に放り出されたのと同じ気分だ。[pcms] *2987| [fc] 眠りにつく前のことは覚えているし、[r] それからのこともわかるんだけど、[r] 肝心の部分がなにもわからない。[pcms] *2988| [fc] 僕は、感傷的な気分を抑えるために、[r] 写真立てを再び伏せた。[pcms] ;//★room02a 誠の部屋 [bg storage="room02a"][trans_c cross time=500] *2989| [fc] 僕が、今築いている新しい友人たちとの生活。[pcms] *2990| [fc] 4年前の世界と、今の世界を繋いでくれている、[r] 唯一の存在である姉ちゃんとの生活。[pcms] *2991| [fc] どちらも大切で、かえがえの無いものだった。[pcms] *2992| [fc] この世界で生きていきたい。[pcms] *2993| [fc] もう二度と、大切なものを失いたくない。[pcms] *2994| [fc] 僕の中に、ぼやけて思い出せないものが増えていくなんて、[r] 考えるだけで背筋が凍るほどの恐怖だった。[pcms] *2995| [fc] 写真と思い出にしか存在しない世界を懐かしむのは、[r] もっとずっとおじいさんになってからでいい。[pcms] *2996| [fc] 4年前のように、自分のあずかり知らぬところで、[r] 今を喪失してしまうのが、例えようもなく恐かった。[pcms] *2997| [fc] [ns]誠[nse] 「…………」[pcms] *2998| [fc] 眠気がまぶたに重くのし掛かってくる。[pcms] *2999| [fc] 眠る前の世界と、起きた後の世界。[pcms] *3000| [fc] 目が覚めても、今の続きの世界であるように、[r] 僕は祈りながら眠りに落ちていった。[pcms] ;//BGMフェードアウト [fadeoutbgm time=500] ; ;//#_ブラックアウト [black_toplayer][trans_c cross time=500][hide_chara_int] ;//ブロック0220へjump [jump storage="0220.ks" target=*0220_TOP] ;//_____________________________