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2023-12-30 20:05:58 -06:00

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;//_______________________________________
;//シーン名 :プロローグ
;//
;//file名 0030
;//登場人物 :オズ・船長・甲板長・船員A・船員B・船員C・船員D・船医・男性客・女性客
;//服装 :私服
;//日付 8月17日
;//時間 :早朝~深夜
;//場所 :越智本家の港・夜
;//予想容量 10kb
;//備考 :三回目以降プレイ時の、三人称視点プロローグパート
;//_______________________________________
*0030_TOP
;{SceneSet 積荷}
;//bgm08.ogg
[bgm storage="BGM08"]
;//■イベント mob_N002 海上を行く補給船シルエットと水平線上の島のシルエット差分で島はON/OFF
[evcg storage="mob_N002a"][trans_c cross time=1000]
;//seE004.ogg(LOOP)
[se buf=1 storage="seE004" loop=true]
;//◆SE 中型船のエンジン音や駆動音など
;//システムアイコン&メッセージウィンドウ表示
[sysbt_meswin]
*533|
[fc]
[ns]甲板長[nse]
「ほら、二人で船室にお連れしろ。[r]
 大人しくしてるとは思うが……気をつけろよ」[pcms]
*534|
[fc]
[ns]船員A[nse]
「わかってますって。[r]
 いつものお客さんと同じでしょ」[pcms]
*535|
[fc]
[ns]船員B[nse]
「病人が出る度にこれじゃ、向こうさんも仕事にならんですね」[pcms]
*536|
[fc]
日本近海に浮かぶ、外界から隔絶された太平洋のとある孤島。[pcms]
*537|
[fc]
その小島から、瀬渡内の片隅に佇む大神島まで、[r]
一般客の利用できない定期船が存在していた。[pcms]
*538|
[fc]
観光資源もなく、漁師でさえ滅多に近づかないその小島に[r]
用のある客もおらず、一般客が利用できないことで[r]
問題が起きたことはない。[pcms]
*539|
[fc]
ただ……こうして、確実に運行していることだけは確かだった。[pcms]
*540|
[fc]
[ns]船員A[nse]
「ほら、段差があるから気をつけてくださいよ?」[pcms]
*541|
[fc]
[ns]船員B[nse]
「聞きました? お客さんも、そこの床には気をつけて」[pcms]
*542|
[fc]
大神島から出航した定期船は、食料や生活必需品、[r]
個人的な荷物から何かの資材まで、小島で全ての積み荷を降ろすと、[r]
代わりに二人の客を預かって出港していた。[pcms]
*543|
[fc]
二人は白いレインコートのようなものに身を包み、[r]
手袋から長靴まで素肌を晒さないような姿になっている。[pcms]
*544|
[fc]
頭には大きな帽子をかぶり、顔の半分以上を覆う[r]
大きなマスクまで装着していた。[pcms]
*545|
[fc]
二人の船員は、一人ずつ客の側にピタリと横に付くと、[r]
何があってもいいように気を配っている。[pcms]
*546|
[fc]
[ns]甲板長[nse]
「そこの部屋だ、丁重にな」[pcms]
*547|
[fc]
[ns]船員A[nse]
「わかってます、さあ入ってくださいよ」[pcms]
*548|
[fc]
男性客が[ruby text="おぼつか"][ch text="覚束"]ない足取りで部屋の中に入っていくと、[r]
それを追うように女性客もドアをくぐった。[pcms]
*549|
[fc]
[ns]船員B[nse]
「おっと……ずいぶんヨタヨタしてますな」[pcms]
*550|
[fc]
[ns]船員A[nse]
「今度のお客さんは、だいぶ参ってる様子で」[pcms]
*551|
[fc]
[ns]甲板長[nse]
「転んで怪我でもされたら台無しなんだ、[r]
 しっかり面倒見るんだぞ」[pcms]
*552|
[fc]
[ns]船員B[nse]
「わかってますよ。[r]
 病人に怪我でもされちゃお手上げだ」[pcms]
*553|
[fc]
二人の客は質素な作りの客室に案内されると、[r]
お互いを見つめ合うような格好で椅子に座り込んだ。[pcms]
*554|
[fc]
どんな経緯のある二人なのかはわからないが、[r]
赤の他人とは思えない。[pcms]
*555|
[fc]
[ns]船員A[nse]
「これだけ大人しけりゃ安心ですね」[pcms]
*556|
[fc]
[ns]甲板長[nse]
「ああ……だが、油断はするなよ」[pcms]
*557|
[fc]
この定期船が出ている小島に、観光客は立ち寄らない。[pcms]
*558|
[fc]
島には政府の作った研究施設があるだけで、[r]
他には何もないからだ。[pcms]
*559|
[fc]
あんな孤島でどんな胸くそ悪い研究をしているのか知らないが、[r]
知りたくもないと甲板長は思っている。[pcms]
*560|
[fc]
人里離れる理由もわからなくはない。[pcms]
*561|
[fc]
それだけ危険な研究をしているということだろうし、[r]
それは付近の住民に迷惑を掛けないという、言わば配慮だ。[pcms]
*562|
[fc]
だが……この仕事について、一切の詮索をしないという[r]
決まりになっている理由は何なのか。[pcms]
*563|
[fc]
裏を返せば、詮索をされたら困るということではないのか。[pcms]
*564|
[fc]
こそこそと人様の目から逃れて行う研究……[r]
船員はみな、薄気味悪さばかりを感じている。[pcms]
*565|
[fc]
だが、自分たちのやることは普通の仕事と何も変わりがなかった。[pcms]
*566|
[fc]
大神島から例の小島まで、月に数回の往復をして、[r]
様々な物資を運んでいるだけだ。[pcms]
*567|
[fc]
三ヶ月に一度、人員の交代や増員があるらしく、[r]
様々な人間を運ぶが、それもただの客と変わりがない。[pcms]
*568|
[fc]
たまに、具合が悪くなったらしい人間を島から運ぶこともあるが、[r]
イレギュラーというほどのことでもなかった。[pcms]
*569|
[fc]
今回、運んでいるような客と比べたら、の話だが。[pcms]
*570|
[fc]
船員の二人は、いつもの具合が悪くなった客だと思っているが、[r]
甲板長は詳しい話を聞いている。[pcms]
*571|
[fc]
ヤバイ客という意味では、群を抜いた存在かも知れない。[pcms]
*572|
[fc]
だが悔しいことに、とんでもない大金に化けてくれる、[r]
VIPであるということに間違いはなかった。[pcms]
*573|
[fc]
[ns]甲板長[nse]
「前みたいに海に飛び込まれたら大事だ、[r]
 しっかり見ておいてくれよ」[pcms]
*574|
[fc]
[ns]船員A[nse]
「わかってますって」[pcms]
*575|
[fc]
[ns]甲板長[nse]
「時間になったら食事を運んで、先生に見てもらうんだぞ」[pcms]
*576|
[fc]
[ns]船員B[nse]
「俺、医者の先生は苦手なんだよなぁ」[pcms]
*577|
[fc]
[ns]甲板長[nse]
「グズグズ言うな、しっかりと仕事をしろよ」[pcms]
*578|
[fc]
甲板長は問題が無さそうだと判断すると、[r]
二人の船員にその場を任せ、部屋を出て行った。[pcms]
;//seフェード停止
[stopse buf=1]
;<SoundFade 3,OUT,3000>
;//<SoundLoop 3,OFF><SoundRun 3,Stop,ON,2000>
;//BGMフェードアウト
[fadeoutbgm time=500]
;<SoundFade 0,3000>
;//<SoundLoop 0,ON><SoundRun 0,Stop,ON,2000>
;//#_ブラックアウト
[black_toplayer][trans_c cross time=1000][hide_chara_int]
;//■イベント mob_N002 島の差分OFF
*579|
[fc]
政府の研究施設がある小島を出港してから6時間ほど。[r]
まだ暗く静かな海の真ん中で、その絶叫が闇を[ruby text="つんざ"]劈いた。[pcms]
;//bgm13.ogg
[bgm storage="BGM13"]
*580|
[fc]
仮眠をとっている者、仕事をしている者、[r]
手持ちぶさたにしている者、全てに緊張が走る。[pcms]
*581|
[fc]
声が聞こえてきたのは客室の方。[r]
そこには船員二名と客がいるはずだが……。[pcms]
;//seA052.ogg
[se buf=0 storage="seA052"]
;//■イベント mob_N002 海上を行く補給船
;//[evcg storage="mob_N002a"][trans_c cross time=300]
[bg storage="ship01a"][trans_c cross time=1000]
*582|
[fc]
船の操縦に必要な者以外が、異変を確かめに[r]
客室へと集まってくる。[pcms]
;//seA023.ogg
[se buf=0 storage="seA023"]
*583|
[fc]
[ns]甲板長[nse]
「どうした! なにがあった!」[pcms]
*584|
[fc]
客室の前には、船医とベテランの船員二名が集まっている。[r]
ちょうど扉を開けて、中を確かめるところのようだった。[pcms]
*585|
[fc]
ベテランの船員は甲板長の姿を確かめると、[r]
覚悟を決めたように客室の扉を開け放つ。[pcms]
*586|
[fc]
寝ぼけてベッドから落ちたような声ではなかった。[r]
明らかに、断末魔か……それに類する絶叫だ。[pcms]
;//#_レッドアウト
[red_toplayer][trans_c cross time=500][hide_chara_int_r]
;//seD004.ogg
[se buf=0 storage="seD004"]
*587|
[fc]
ベテランの船員が扉を開けると、[r]
むわっとした血の匂いが部屋から溢れ出てきた。[pcms]
*588|
[fc]
多少の出血で、こんな血の温かさと匂いを感じることはない。[pcms]
*589|
[fc]
そして、嗅覚の次に飛び込んできたものは……[r]
真っ赤に染め上げられ、変わり果てた客室の姿だった。[pcms]
*590|
[fc]
壁のあちこちに血が飛び散り、ベッドから椅子から机から、[r]
飛び散った血が滴り落ちている。[pcms]
;//■イベント mob_N002 海上を行く補給船
;//[evcg storage="mob_N002a"][trans_c cross time=300]
[bg storage="ship01a"][trans_c cross time=1000]
*591|
[fc]
[ns]船員B[nse]
「か……かはっ……」[pcms]
*592|
[fc]
客の世話に付けた船員のひとりが、助けを求める目で[r]
部屋に飛び込んできた人間を見つめていた。[pcms]
*593|
[fc]
客の男は船員にしがみつき、その首に歯を立てるように[r]
噛みついている。[pcms]
*594|
[fc]
破れたホースから水が飛び出るように、赤い血糊が[r]
部屋のあちこちに飛び散っていた。[pcms]
*595|
[fc]
[ns]甲板長[nse]
「引きはがせっ!」[pcms]
*596|
[fc]
誰の何をという説明は必要もなく、[r]
ベテランの船員二名は命令を理解する。[pcms]
*597|
[fc]
一人は客の後ろから身体を引き起こすように羽交い締めにして、[r]
仲間の身体から客を引きはがしていく。[pcms]
*598|
[fc]
もう一人は船員の身体を支えるようにしながら、[r]
客の腹を蹴って助け出そうとしていた。[pcms]
;//#_赤フラ
[赤フラ]
;//seD014.ogg
[se buf=0 storage="seD014"]
*599|
[fc]
血しぶきがその場に居合わせた全員に降りかかる。[pcms]
*600|
[fc]
だが、そんなことに構っていられる状況ではなかった。[pcms]
*601|
[fc]
[ns]甲板長[nse]
「船医! 客に薬だ!」[pcms]
*602|
[fc]
[ns]船医[nse]
「よ、よし……き、聞いていた奴だな」[pcms]
*603|
[fc]
船医はこの事態を予測していたのか、[r]
震える手で注射器の用意を始める。[pcms]
*604|
[fc]
[ns]船員C[nse]
「こ、こら、暴れるな!」[pcms]
*605|
[fc]
[ns]船員D[nse]
「おい、大丈夫か! しっかりしろ!」[pcms]
*606|
[fc]
あれほどヨタヨタと歩いていた、半病人同然の客が、[r]
屈強なベテラン水夫の羽交い締めを振り解こうとしている。[pcms]
*607|
[fc]
[ns]男性客[nse]
「は゛ら゛へた……に……く゛……」[pcms]
*608|
[fc]
酒に酔ったような男性客の言葉に、船員たちが戦慄する。[pcms]
*609|
[fc]
実際に知っているわけではなかったが、[r]
知識として、これがなんなのか頭の中に思い浮かんでしまう。[pcms]
*610|
[fc]
人間をこんな風に変えてしまう事件が、東北で……。[pcms]
*611|
[fc]
[ns]船員D[nse]
「か、甲板長……こ、これ……」[pcms]
*612|
[fc]
[ns]甲板長[nse]
「うぐっ……」[pcms]
*613|
[fc]
ベテランの船員が見つめる先……怪我を負った船員の首筋に、[r]
象牙のような何かがびっしりと埋まっていた。[pcms]
*614|
[fc]
甲板長が男性客の方に目をやると、[r]
嫌な想像が現実だったと理解してしまう。[pcms]
*615|
[fc]
男性客の口には……歯が残っていなかった。[pcms]
*616|
[fc]
凄まじい力で噛みついたまま、屈強な男二人が無理に[r]
身体を引きはがした結果、船員の首に[r]
歯が残ってしまったのだろう。[pcms]
*617|
[fc]
[ns]甲板長[nse]
「船医! まだかっ!」[pcms]
*618|
[fc]
生臭い血煙の舞う室内で、暴れる男性客に船医が注射器を[r]
射し込んでいる。[pcms]
*619|
[fc]
[ns]甲板長[nse]
「負傷者は医務室だ、急げ!」[pcms]
*620|
[fc]
[ns]船員D[nse]
「し……しかし……」[pcms]
*621|
[fc]
部屋中を染め上げるほど出血した人間に、[r]
何ができるというのか。[pcms]
*622|
[fc]
すでにショック死している可能性が高い。[pcms]
*623|
[fc]
[ns]甲板長[nse]
「いいから連れ出すんだ!」[pcms]
*624|
[fc]
船員は後ろから脇を抱えるようにして[r]
引きずりながら、仲間の身体を医務室に運んでいく。[pcms]
*625|
[fc]
まるで何かの遊びのように、[r]
その通り道には赤い線が引かれていた。[pcms]
*626|
[fc]
[ns]甲板長[nse]
「そっちの様子はどうだ?」[pcms]
*627|
[fc]
[ns]船医[nse]
「わからん……動きが緩慢になってきたが……」[pcms]
*628|
[fc]
[ns]甲板長[nse]
「その辺に放っておけ」[pcms]
;//seB014.ogg
[se buf=0 storage="seB014"]
*629|
[fc]
ベテランの船員にそう命令すると、男性客が[r]
ベッドの方に投げ捨てられる。[pcms]
*630|
[fc]
怪力の持ち主かも知れないが、体重は至って軽い。[pcms]
*631|
[fc]
男性客が捨てられた辺りを見ると、昼食らしき残飯が散乱し、[r]
その隣で、もうひとりの船員が死んでいた。[pcms]
*632|
[fc]
血塗れではあるが、上半身に大きな怪我は見あたらない。[pcms]
*633|
[fc]
甲板長が視線を移していくと、死んだ船員は[r]
股間の辺りから出血し……男性器の辺りが[ruby text="えぐ"]抉られていた。[pcms]
*634|
[fc]
その痛々しい光景に寒気を覚えて眉をひそめる。[pcms]
*635|
[fc]
男ならば、誰もがおぞましさを覚える姿のはずだ。[pcms]
*636|
[fc]
そして、甲板長は部屋の隅でうずくまっている[r]
レインコートの女性客を見つけた。[pcms]
*637|
[fc]
血に濡れたレインコートに、帽子の[ruby text="つば"]鍔で顔は見えないが、[r]
保護する必要はないだろう。[pcms]
*638|
[fc]
どうせ男性客と同じ穴の[ruby text="むじな"]狢。[r]
仲間なのだから。[pcms]
*639|
[fc]
部屋を後にしようと思った甲板長は、[r]
その姿にどこか違和感を覚えて首を捻る。[pcms]
*640|
[fc]
女性客は口紅など差していなかったはずだが、[r]
その唇がいやに赤い。[pcms]
*641|
[fc]
だが、その唇から赤い筋のような滴がこぼれるのを見て、[r]
甲板長はそれが口紅ではないことを理解した。[pcms]
*642|
[fc]
部下だった、船員の血だ。[pcms]
*643|
[fc]
しかもあの濡れ方は、返り血を浴びて付いた濡れ方じゃない。[r]
男性客のように、噛みついたときに付いた血だ。[pcms]
*644|
[fc]
しかし、死んでいる船員が怪我をしている場所は……。[pcms]
*645|
[fc]
女性客が首をかしげるようにして、[r]
帽子の鍔から甲板長を見上げてくる。[pcms]
*646|
[fc]
そして、女性客は血で染まった真っ赤な唇を、[r]
ニタリと笑わせた。[pcms]
;//BGMフェードアウト
[fadeoutbgm time=500]
;<SoundFade 0,3000>
;//<SoundLoop 0,ON><SoundRun 0,Stop,ON,2000>
;//#_ブラックアウト
[black_toplayer][trans_c cross time=1000][hide_chara_int]
;//■イベント mob_N002 海上を行く補給船
[evcg storage="mob_N002a"][trans_c cross time=300]
;//bgm15.ogg
[bgm storage="BGM15"]
*647|
[fc]
[ns]甲板長[nse]
「船長、拙いことになりました」[pcms]
*648|
[fc]
[ns]船長[nse]
「面倒になったが……全員、ワクチンは打っているんだろうな?」[pcms]
*649|
[fc]
[ns]甲板長[nse]
「はい、その点は問題ありません」[pcms]
*650|
[fc]
混乱から立ち直ったばかりとは言え、[r]
法治国家で人が二人死んだのだ。[pcms]
*651|
[fc]
遺族から連絡が行き、警察が動くようなことになったら[r]
隠しおおせないかも知れない。[pcms]
*652|
[fc]
[ns]船長[nse]
「医務室に運ばれた方はどうなった?」[pcms]
*653|
[fc]
[ns]甲板長[nse]
「死にました。今、医務室は血の海です……」[pcms]
*654|
[fc]
[ns]船長[nse]
「そうか……他の連中はどうしている?」[pcms]
*655|
[fc]
[ns]甲板長[nse]
「かなり動揺していますが、取りあえず[r]
 シャワーを浴びさせています……コホッ」[pcms]
*656|
[fc]
甲板長は、喉の調子を整えるように咳払いをすると、[r]
声を潜めて船長の指示を扇いだ。[pcms]
*657|
[fc]
二人の死体をどうするか……大人しく警察に引き渡すとは[r]
とうてい思えない。[pcms]
*658|
[fc]
だが、どうする……海にでも捨てるのか。[pcms]
*659|
[fc]
[ns]船長[nse]
「死体は転落事故ということで、海に捨てることもできるが……。[r]
 島の連中に処分してもらうことは、できるかもな」[pcms]
*660|
[fc]
[ns]甲板長[nse]
「大丈夫ですかね……」[pcms]
*661|
[fc]
甲板長としては嫌な予感しかしない。[pcms]
*662|
[fc]
危険を承知で多額の報酬に釣られたのだから、[r]
こちらのことは、こちらで始末した方がいいと思ってしまう。[pcms]
*663|
[fc]
[ns]船長[nse]
「冗談だ、ミスがあったと知れたら報酬も減らされるだろう。[r]
 二人は転落事故ということで処理してくれ」[pcms]
*664|
[fc]
[ns]甲板長[nse]
「連中には金をつかませて口止めしておきます」[pcms]
*665|
[fc]
[ns]船長[nse]
「ああ、それから客と客室……それに医務室か。[r]
 入念に洗わなければな」[pcms]
*666|
[fc]
今日の深夜になれば大神島に到着する。[pcms]
*667|
[fc]
それまでにやらなくてはいけないことが、[r]
二人には山積みだった。[pcms]
*667a|
[fc]
[ruby text="おか"]陸のルールと海のルールは違うのだから……。[pcms]
*668|
[fc]
そんなことを思っているわけでもないだろうが、[r]
客のことを警察に突き出すつもりは、[r]
毛頭無いようだった。[pcms]
;//#_ブラックアウト
[black_toplayer][trans_c cross time=1000][hide_chara_int]
;//bg17c 越智家 裏手の港・夜
[bg storage="BG17c"][trans_c cross time=1000]
;//◆SE クレーンの音など
*669|
[fc]
[ns]船員C[nse]
「オラーイ、オラーイ、オラーイ……」[pcms]
*670|
[fc]
港に着いた船は、空っぽになっているコンテナを下ろして、[r]
次の荷物を仕込まなくてはいけない。[pcms]
*671|
[fc]
これが終われば休暇がもらえるとわかっている船員たちは、[r]
疲れた身体にムチを打って、最後の一仕事に精を出していた。[pcms]
*672|
[fc]
船内でどんな噂話になっているのか知れないが、[r]
船員たちに特別な動揺は見られない。[pcms]
*673|
[fc]
いつも通りの仕事を淡々とこなしている姿に、[r]
船長は深く満足していた。[pcms]
*674|
[fc]
船員の補充も考えなければいけないだろうが、[r]
当面はこの人数でやりくりをすることになるだろう。[pcms]
*675|
[fc]
事情を説明できないのが心苦しいところだが、[r]
妙な[ruby text="おそ"]畏れや混乱のない部下たちは頼もしい限りだった。[pcms]
*676|
[fc]
タラップから降りてくる船長を、[r]
胡散臭い雰囲気の男たちが迎える。[pcms]
*677|
[fc]
明らかに堅気ではないが、[r]
田舎ヤクザのチンピラとも違うだろう。[pcms]
*677a|
[fc]
[ruby text="まと"]纏っている危険な雰囲気が、お遊びではないことを[r]
如実に物語っている。[pcms]
*678|
[fc]
この真夏に上着を着込んで、その下に何を隠しているのか[r]
詮索するまでもない。[pcms]
*679|
[fc]
船長は後ろを振り返ると、四人の船員に[r]
連れられて来る客を見てから、男たちのボスに視線を合わせた。[pcms]
*680|
[fc]
確か、オズとか呼ばれていた男だ。[pcms]
*681|
[fc]
向こうも無駄なやりとりをするつもりはないらしく、[r]
部下に合図を送ると、無言で客を引き取る。[pcms]
*682|
[fc]
部下たちは、そのまま二人の客を引き連れて、[r]
港湾施設の奥へと消えていった。[pcms]
[ChrSetEx layer=5 chbase="oz1_su"][ChrSetParts layer=5 chface="F1_oz01"][ChrSetXY layer=5 x=300 y=0][trans_c cross time=150]
*683|
[fc]
[ns]オズ[nse]
「何か問題は?」[pcms]
*684|
[fc]
[ns]船長[nse]
「もらっていた指示通りに動いた。[r]
 施設にいた協力者も手際よくやってくれたよ。[r]
 何も問題はない」[pcms]
[chara_int][trans_c cross time=150]
;//◆タラップで転ぶ音
;//seB099.ogg
[se buf=0 storage="seB099"]
*685|
[fc]
[ns]甲板長[nse]
「うわっ!」[pcms]
*686|
[fc]
すぐ近くで響いた大きな音に、話をしていた二人が振り返る。[pcms]
*687|
[fc]
そこには、気まずそうにしながら助け起こされている甲板長と、[r]
手を取る船医の姿があった。[pcms]
*688|
[fc]
滑りやすいのはわかるが、船の上で転んだら死ぬことだってある。[r]
らしくない姿だと思いながらも、船長は忘れることにした。[pcms]
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*689|
[fc]
[ns]オズ[nse]
「問題はない? さて、どうかな」[pcms]
*690|
[fc]
[ns]船長[nse]
「誰だって転ぶことくらいはある」[pcms]
*691|
[fc]
[ns]船医[nse]
「それでは船長、お先に失礼しますよ……コホッ、コホッ」[pcms]
*692|
[fc]
[ns]船長[nse]
「どうした? 医者が風邪か?」[pcms]
*693|
[fc]
[ns]船医[nse]
「誰だって転ぶのと同じで、医者だって風邪くらい引きます」[pcms]
*694|
[fc]
船長は甲板長と船医が立ち去るのを確認すると、[r]
相手の側に寄っていった。[pcms]
*695|
[fc]
荷物は渡したのだ。[r]
後は報酬だ。[pcms]
*696|
[fc]
船長の眼差しの意味を読み取ったオズは、[r]
わずかに目を細めて、背後の港湾施設へ顎をしゃくった。[pcms]
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*697|
[fc]
[ns]オズ[nse]
「最上階へ行け。手渡しで済ませる。」[pcms]
*698|
[fc]
船長はオズを[ruby text="いちべつ"][ch text="一瞥"]すると、[r]
無言でその隣を通り過ぎていく。[pcms]
*699|
[fc]
お互い、用が済んでしまえば交わす言葉もない。[r]
オズは煙草に火を点けると、紫煙と共に考えをくゆらせた。[pcms]
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*700|
[fc]
[ns]オズ[nse]
「…………」[pcms]
*701|
[fc]
金を払ってしまえば、それまでの関係だと思いながらも、[r]
オズは船長のことを考えてしまう。[pcms]
*702|
[fc]
堅気の人間が手を出すには、少しばかり荷が重かったはずだ。[pcms]
*703|
[fc]
金のためにできることは人によって違うだろうが、[r]
今回のこれは特別だ。[pcms]
*704|
[fc]
研究所に荷物を運んでいるのとは、危険の次元が違う。[r]
最悪、消されることだってあったかも知れないのだ。[pcms]
*705|
[fc]
だが、そこまで考えて、オズは自嘲気味に唇をゆがめた。[r]
そう言う自分はどうなのだろうかと。[pcms]
*706|
[fc]
切り捨てられるなら、それは自分も同じだ。[r]
だが、こうして金のために危険を犯しているではないか。[pcms]
*707|
[fc]
もちろん、そうならないように立ち回る自信はあるが、[r]
それは船長にしても同じなのかも知れない。[pcms]
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*708|
[fc]
[ns]オズ[nse]
「…………」[pcms]
*709|
[fc]
らしくもない、無為なことを考えたと思いながら、[r]
珍しく弛んでいる気を引き締め直す。[pcms]
*710|
[fc]
まだ仕事は終わっていないのだ。[pcms]
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*711|
[fc]
オズは夜の海に煙草を捨てると、その場を立ち去った。[pcms]
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