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2025-01-19 20:27:37 -06:00

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1テキストピクチャIDBGMIDMAPIDコマンドIDコマンドテキストコマンド値1コマンド値2コマンド値3コマンド値4
20001160_若いミラ1.png100100
30001160_若いミラ2.png200100
40001160_若いミラ3.png300100
50001160_売られそうなミラ.png400100
60001160_現在のミラ.png500100
7バックの視線に見送られて駅舎を出ると、夜道を歩きながら回想に続きに耽る。 9994000000
8父のガフは、大柄な体躯に陽気な性格で皆に親しまれていた。 14000000
9線の細い自分と親子と聞いた客が疑うのが常で、それをガフは鉄板ネタにする始末。 14000000
10父のガフ、ガフの宿屋、それにミラ。 それが自分の世界の全てだった。 14000000
11しかし、運命は自分をこの幸せな世界に留めてはくれなかった。 110000000
12やけに温かい冬のこと。 滅多に風邪もひかないガフが寝込んでしまう。 110000000
13ミラは慌てふためいていたが、一年に一度は風邪で寝込む自分からすれば父が風邪知らずなの がおかしいとしか思えなかった。 110000000
14それでも、せいぜい数日経てば良くなるものと思い込んでいた。 110000000
15身近過ぎて気付けなかったのか、ガフが心配を掛けまいと振る舞っていたためか。 病魔は確実にガフを蝕んでいた。 210000000
16風が暑気を払い、木々が色づき始めた頃、階下から大声が響く。 何事か輪になった客の間から割り込むと、青白い顔のガフが床に身を横たえている。 210000000
17慌てて寝室に運んだガフの軽さに愕然とする。 一日にしてそうなった筈もなく、日々の変化に気付くには自分は幼く鈍感に過ぎた。 210000000
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19王国での商業は、営業免許の許認可制となっている。 営業免許は相続できるものの、その時の自分は継承年齢に満たなかった。 310000000
20結果、免許は後見人として手を挙げた面識のない縁戚に預けられる。 310000000
21相続財産を収奪する後見人も珍しくない。 しかし、宿を営業免許ごと競売に掛けた縁戚は、一切の私物化なく自分の学費、生活費に充て 、成人に達するまで後見の労まで負ってくれた。 310000000
22それがなければ、自分の今はなかっただろう。 縁戚に恵まれたことには感謝するしかない。 310000000
23結局、一介の出張所職員から王国官吏にまでなれたのは全て運次第だったのかもしれない。 310000000
24しかし…。 310000000
25ガフを亡くした時、自分は呆然自失するばかり。 ミラがいなかったら、虚脱のあまりどうなっていたかわからない。 110000000
26ミラは気丈だった。 無気力な自分になすべき事を示し、叱咤し、寄り添ってくれた。 110000000
27それがミラなりのガフへの感謝の示し方だろうとは思っていた。 しかし、ミラ自身の事情に想いを馳せることができないほど自分は幼かった。 110000000
28ミラは天涯孤独の身で、ガフと宿を失えば寄る辺なき立場に堕ちてしまう。 自分のように後見のない未成年は、日々の暮らしもおぼつかない。 310000000
29その不安をおくびにも出さずミラは自分を支えてくれていた。 310000000
30やがて、激流に呑まれたような日々の終わりを感じていた頃。 ようやくミラとの日々に戻れると思っていた矢先、テーブルに置かれた手紙に驚愕する。 99910000000
31その時までミラの心中を慮ることのなかった罪が裁かれる。 99910000000
32手紙は、これまでの感謝と別れを告げるものだった。 99910000000
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34ミラの行方を捜すのは容易ではなかった。 99910000000
35おそらく人生の幸運の半分は、この時に使い果たしているに違いない。 99910000000
36ようやく探しあてたミラは口入屋、要するに人買いに身を委ねた後だった。 410000000
37自暴自棄というよりは、流転の人生に絶望したようなミラの瞳。 410000000
38そこには自分が馴染んだ快活な眼差しが消え失せていた。 410000000
39人生で初めて心に炎が灯る。 99910000000
40闇夜、口入屋に侵入して手当たり次第に書類を漁る。 総動員した知識で手続きの瑕疵を突き、書類の不備と不法を商品取引所に訴え出る。 99910000000
41口入屋に後ろめたい事情があったことは間違いない。 99910000000
42結局、切羽詰まった口入屋との裏取引でミラを奪還することができた。 99910000000
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44一度はガフが為したことを、今度は自分が試みるだけ。 510000000
45若い自分には易しい道ではなかった。 510000000
46しかし、過ぎゆく日々はミラの瞳に再び光を灯し、心の強張りを溶かしてゆく。 510000000
47そして、ミラと結ばれたこと。 自分の人生の幸運の残り半分は、それだった。 510000000
48王国官吏は一目を置かれる存在だし、商品取引所の待遇は悪くない。 510000000
49だけど、それは夢を叶える手段に過ぎない。 二人の夢は、いつかガフの店を再興すること。 510000000
50ミラと同じ夢を見て、叶えること。 それこそが現在進行中の自分の幸福だ。 510000000
51今夜はやけに昔のことを思い出すのも、今が満ち足りているからかもしれない。 510000000
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