kansen-3/Kansen3_patch/50520.ks
2023-12-22 09:03:50 -06:00

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;//block:A004
;//ブロック50520『死者の夜』
;//@konya 11/12 bg貼付
*50520_TOP
;{SceneSet 死者の夜}
;//---------------------------------------------------------------
;//・視点:主人公一人称
;//・場所:;//〆背景:LASER 5F&7F
;//・時間:5日目(8月19日)未明~早朝
;//登場人物:主人公・悠帆・浩助・マルガリータ・漣
;//    重吉・ジン・瑞樹
;//時間帯:
;//・テキスト容量7k前後
;//---------------------------------------------------------------
[sysbt_meswin]
*3079|
[fc]
[ns]壬[nse]
「……その説でいくなら、[r]
 明日には天から降りてきた黄金のハシゴが拝めるのか?」[pcms]
*3080|
[fc]
急に声をかけられたボクは振り返る。[pcms]
*3081|
[fc]
[ns]航[nse]
「あっ……起こしちゃったかな……ゴメンなさい」[pcms]
*3082|
[fc]
いつの間に目を覚ましていたんだろう。[r]
壬が、薄目を開いて、こちらを見ていた。[pcms]
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*3083|
[fc]
[ns]壬[nse]
「気にすんな。[r]
 だが、呪いかどうかわからねぇが……、[r]
 何にせよ、皮肉は十分に効いている」[pcms]
*3084|
[fc]
壬は寝ていたときの姿勢のまま、[r]
まだ、半分寝惚けたような口調でぶつぶつと呟く。[pcms]
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*3085|
[fc]
[ns]壬[nse]
「まあ、この街は世界有数の宗教の街らしい。[r]
 これだけ狭い範囲に、これだけの種類の宗派が集まって、[r]
 寺院やら礼拝堂やらを授けてる場所は他にないそうだ」[pcms]
*3086|
[fc]
[ns]壬[nse]
「……日本に古くから伝わる[r]
 土地神や、庚申信仰なんかの跡も残ってたりするしな……」[pcms]
*3087|
[fc]
[ns]航[nse]
「へえ……」[pcms]
*3088|
[fc]
知らなかった。[r]
世界中の食べ物が集まる街だっていうのは聞いたことあるけど、[r]
宗教までそうだったんだ。[pcms]
*3089|
[fc]
日本人って、ホント心が広いっていうか、節操ないんだなあ。[pcms]
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*3090|
[fc]
[ns]壬[nse]
「まあ……どの神様か仏様がキレちまったのか知らないが、[r]
 こんな『ありがたい街』のど真ん中で[r]
 地獄の釜の蓋が開くなんて、素敵な話じゃねぇか」[pcms]
*3091|
[fc]
[ns]航[nse]
「……そんなの、バチあたりですよ。神様に悪いでしょ?」[pcms]
*3092|
[fc]
眠たげな口調とは裏腹な、切れ味鋭い毒舌に、[r]
ボクはつい、反論してみる。[pcms]
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*3093|
[fc]
[ns]壬[nse]
「神ってもな……、[r]
 共通の思想によって結ばれた人々がもつ共通認識を[r]
 擬人化したものにすぎない」[pcms]
*3094|
[fc]
[ns]壬[nse]
「そこで決められたルールの裁定者。[r]
 もしくは、ルールに忠実な理想的な参加者の完成系、か」[pcms]
*3095|
[fc]
[ns]航[nse]
「そんな風に考えたことはなかったな……」[pcms]
*3096|
[fc]
ボクの思う神様って、なんだか高いところにいて、[r]
個人個人を助けたりはしないけど、[r]
人間全体を見守ってる……っていうぼんやりした存在だ。[pcms]
*3097|
[fc]
自分が宗教をもたない分だけはっきりしないのかもしれないけど。[pcms]
*3098|
[fc]
[ns]壬[nse]
「どのみち、神も仏も人間自身の事だ。神の限界は人の想像力の[r]
 限界で、神が行われる御技の限界は、人の集団が行える限界。[r]
 だから、人間が思いもしなかったことは、神様もご存じない」[pcms]
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*3099|
[fc]
[ns]壬[nse]
「……同じように、二枚舌のしょうもない人間が[r]
 偉くなって大声を出し始めると、[r]
 それに引っ張られてな……」[pcms]
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*3100|
[fc]
[ns]壬[nse]
「神様も二枚舌のどうしようもない奴になっちまって、[r]
 この世のルールも、何もかもが……。[r]
 矛盾だらけのクソみたいになってゆく」[pcms]
*3101|
[fc]
苦々しげに、吐き捨てるように壬は続ける。[pcms]
*3102|
[fc]
[ns]壬[nse]
「そんな神様が、自分の判断で地獄からあふれ出させたのが[r]
 外にいる連中なら、[r]
 今回の『これ』は、むしろ救いじゃないのか?」[pcms]
*3103|
[fc]
[ns]航[nse]
「……え……?」[pcms]
*3104|
[fc]
[ns]壬[nse]
「みんなを苦しみから救ってくれる奇蹟ってなら、[r]
 この渋谷で始まったのも納得できるだろ」[pcms]
*3105|
[fc]
こんな……地獄が神の奇跡………?[pcms]
*3106|
[fc]
今、起きている出来事と[r]
壬の表現とがあまりにもかけ離れていて、[r]
ボクは一瞬、混乱しそうになってしまう。[pcms]
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*3107|
[fc]
[vo_mar s="maru1625"]
[ns]マルガリータ[nse]
「……救い?」[pcms]
*3108|
[fc]
壬は席から立ち上がり、ボク達の方へと歩きながら、[r]
空を睨みながら、話し続ける。[pcms]
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*3109|
[fc]
[ns]壬[nse]
「おまえら、あの外にいる奴らが怪物に見えるか?[r]
 ……おれは、人間そのものに見える」[pcms]
*3110|
[fc]
人間、そのもの?[r]
あの化け物が?[pcms]
*3111|
[fc]
[ns]航[nse]
「ボクには、やっぱり怪物に見えるよ……」[pcms]
*3112|
[fc]
[ns]壬[nse]
「見た目はな」[pcms]
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*3113|
[fc]
[ns]壬[nse]
「だが、みんな本音と建て前に汲々として、苦しそうだったろ?[r]
 世間体やら何やら、[r]
 自分がどう見られてるのか、どう見られたいのか」[pcms]
*3114|
[fc]
[ns]壬[nse]
「様々な悩みから解放して[r]
 『そのままの自分』とやらにしてくれるのが、[r]
 あのウイルスで……」[pcms]
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*3115|
[fc]
[ns]壬[nse]
「その状態を存分に楽しんでるのが、[r]
 “ヤツラ”だろ? コレこそが救済だとは思わないか?」[pcms]
*3116|
[fc]
悩みからの解放……そのままの自分……。[r]
そんなの、無理やりのこじつけだ……とは思う。[r]
誰だって感染したくなんか、なかったはずだ……。[pcms]
*3117|
[fc]
だけど壬の言葉には[r]
一概に否定しきれない、妙な説得力があって。[pcms]
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*3118|
[fc]
[vo_mar s="maru1626"]
[ns]マルガリータ[nse]
「……お前の言うとおりかもしれん。[r]
 では、何故お前は、その『救済』を受けない?」[pcms]
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*3119|
[fc]
[ns]壬[nse]
「簡単な事だ。[r]
 タダで助けてやるなんて話は、胡散臭すぎる」[pcms]
*3120|
[fc]
くくくっと喉の奥で楽しそうな唸り声を立てて、壬は続ける。[pcms]
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*3121|
[fc]
[ns]壬[nse]
「それに俺は、周りが全員同じ行動をとり、[r]
 従うのが当然だと言われたとしても[r]
 自分が気に入らないことは、したくない」[pcms]
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*3122|
[fc]
[ns]壬[nse]
「それでイカレてると言われるなら、[r]
 俺はイカレたヤツのままでいい。[r]
 これ以上は、何も譲りたくねぇからな…………」[pcms]
*3123|
[fc]
ふと目の焦点が、ボクたちに合った。[r]
と思うなり、壬は軽く頭を左右に振る。[pcms]
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*3124|
[fc]
[ns]壬[nse]
「クソ……俺としたことが……。飲み過ぎちまった。[r]
 ……旨すぎる酒のせいだ。[r]
 しゃべり過ぎちまったな……」[pcms]
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*3125|
[fc]
[ns]壬[nse]
「ワリィ。[r]
 俺はもう寝るから、あとは二人でよろしくやんな……」[pcms]
;//キャラ消し
[chara_int][trans_c cross time=150]
*3126|
[fc]
珍しく謝罪の言葉を残して、[r]
壬はフラフラとドームから出て行った。[pcms]
*3127|
[fc]
[ns]航[nse]
「救済……それに、そのままの自分、か……」[pcms]
*3128|
[fc]
こんな救済ならボクは受けなくてもいい。[r]
だけど、そのままの自分、か……。[pcms]
*3129|
[fc]
そのままの自分……。[r]
ボクは、どれが『そのまま』なんだろう……。[pcms]
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