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2023-12-30 00:52:32 -06:00

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*A0090_I
;//♪_BGM02  フェードイン
[bgm storage="bgm02"]
;//♂:プロットとフローで、ラベルが反対。フローに合わせる
;//●ラベルA(真坂とのイベント)
;//〆:真坂ポイントが1/ラベルBで1を選択した場合
;//★_コテージ外部 朝・昼 bg16a.bmp
[bg storage="bg16a"][trans_c cross time=500]
*3152|
[fc]
真坂さんは、ウッドテーブルに戻って静かに本を広げた。[pcms]
*3153|
[fc]
長い黒髪に木漏れ日がキラキラと模様を描いている。[r]
文章を追って、伏し目がちになった瞳が上下に動く。[pcms]
*3154|
[fc]
睫毛が長いんだなあ……と、俺はその端正な顔立ちを眺めていた。[pcms]
;//ma_H007
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*3155|
[fc]
[vo_aya s="aya_0215"]
[ns]絢[nse]
「どうか……しましたか?」[pcms]
*3156|
[fc]
ふいに真坂さんは顔を上げ、俺を見返してきた。[pcms]
*3157|
[fc]
不審な顔ではなく、どちらかというと少しはにかんだような[r]
顔つきに見えたのは、俺の気のせいだろうか。[pcms]
*3158|
[fc]
[ns]大介[nse]
「あ、いや、ごめんごめん。邪魔しちゃったかな。[r]
 いやあ、熱心に読んでるなあってさ。[r]
 で、何を今日は読んでるのかなあ……ってさ」[pcms]
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*3159|
[fc]
[vo_aya s="aya_0216"]
[ns]絢[nse]
「……そうですか。今日は……『ワシントンハイツのそよ風』[r]
 という本を読んでいたんです」[pcms]
;//♂:マルガリータが読んでいたとされる本
*3160|
[fc]
[ns]大介[nse]
「へえ、どんな本?」[pcms]
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*3161|
[fc]
[vo_aya s="aya_0217"]
[ns]絢[nse]
「え? ええ、その……まだ読み始めたばかりで。[r]
 でも、東京の渋谷にある代々木公園に戦後ワシントンハイツ[r]
 というものがあった……という事らしいです」[pcms]
*3162|
[fc]
[ns]大介[nse]
「へえ……まあ、東京なんてこの先行く事があるかどうか[r]
 わかんないけど、いわゆる歴史もんみたいな感じなのかな?」[pcms]
*3163|
[fc]
[vo_aya s="aya_0218"]
[ns]絢[nse]
「ええ……たぶん。まだ最初の方だけなので……」[pcms]
*3164|
[fc]
[ns]大介[nse]
「そっか。歴史とかにも興味があるんだ、真坂さんは」[pcms]
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*3165|
[fc]
[vo_aya s="aya_0219"]
[ns]絢[nse]
「え? ……特にというわけではないんですが……。[r]
 でも、郷土史みたいなものは、結構面白いと思っています」[pcms]
*3166|
[fc]
[ns]大介[nse]
「そっかぁ。俺もエンジニア系の歴史って言うか、[r]
 技術の進歩の履歴みたいなのは興味あるんだけどねー。[r]
 ふつーの歴史ってなると、眠くなっちまうなあ」[pcms]
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*3167|
[fc]
[vo_aya s="aya_0220"]
[ns]絢[nse]
「……羨ましいです。仙道君は夢中になるものがあるから、[r]
 一直線に進んでいて。私は……まだそういうものが無いから……[r]
 あちこちにふらふらしているみたい……」[pcms]
*3168|
[fc]
真坂さんはそう言うと、目を伏せて、本までパタンと伏せて[r]
しまっていた。哀しげに見えるのは気のせいじゃないだろう。[pcms]
*3169|
[fc]
[ns]大介[nse]
「……真坂さんは、将来どうしたいとか、ないの?」[pcms]
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*3170|
[fc]
[vo_aya s="aya_0221"]
[ns]絢[nse]
「……ええ」[pcms]
*3171|
[fc]
[ns]大介[nse]
「じゃあ、まだいろんな可能性を持ってるってことだね」[pcms]
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*3172|
[fc]
[vo_aya s="aya_0222"]
[ns]絢[nse]
「え?」[pcms]
*3173|
[fc]
[ns]大介[nse]
「前に話した趣味もそうだけどさ、真坂さんはまだ模索してる[r]
 最中なんだろ? でも、それってまだまだいろんな可能性を[r]
 探り当てられるって事でもあると思うんだ」[pcms]
*3174|
[fc]
[ns]大介[nse]
「俺は、わりと早くにエンジニアっていうものにたどり着いて[r]
 しまって、確かに真坂さんの言うように、今は一直線だと思う。[r]
 それは俺が選択してそうしたわけだけどさ」[pcms]
*3175|
[fc]
[ns]大介[nse]
「でもさ……もしかしたら、歴史学者の俺とか、学校の先生の俺、[r]
 サラリーマンの俺、公務員の俺……なんて姿があったかも[r]
 しれないよね」[pcms]
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*3176|
[fc]
[vo_aya s="aya_0223"]
[ns]絢[nse]
「…………」[pcms]
*3177|
[fc]
[ns]大介[nse]
「俺はエンジニアを目指した時点で、他の可能性を全部捨てて[r]
 しまったって事だと思うんだ。でも、今の真坂さんは、[r]
 まだまだいろんな可能性を持ってるってことだと思うんだ」[pcms]
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*3178|
[fc]
[vo_aya s="aya_0224"]
[ns]絢[nse]
「……そうね……でも、道のりが遠い気がしていて……」[pcms]
*3179|
[fc]
[ns]大介[nse]
「そう言えばさ、昨日マコトを看てくれただろう?[r]
 医療とか医術とか本当に詳しいんだなって思った。前にマコトも[r]
 言っていたけど、そっち方面を目指すとかって事はないの?」[pcms]
*3180|
[fc]
[vo_aya s="aya_0225"]
[ns]絢[nse]
「それは……母の面倒を看てるうちに……[r]
 身に付いていたものなんです。[r]
 必要に応じてというか……仕方なくというか……」[pcms]
*3181|
[fc]
[ns]大介[nse]
「そうなんだ。でも、考え方を変えれば、お母さんが与えてくれた[r]
 きっかけだと思う事も出来るよね?」[pcms]
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*3182|
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[ns]絢[nse]
「母が……与えてくれたきっかけ……」[pcms]
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*3183|
[fc]
真坂さんは顔を上げると、不思議そうな目つきで[r]
俺を見返してきた。俺の目を、綺麗なそしてまっすぐな視線で[r]
見つめ返してくる。[pcms]
*3184|
[fc]
[ns]大介[nse]
「…………」[pcms]
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*3185|
[fc]
[vo_aya s="aya_0227"]
[ns]絢[nse]
「仙道君って、本当に考え方が前向きなんですね……」[pcms]
*3186|
[fc]
[ns]大介[nse]
「え?! そう? 後ろ向きになる事だってあるよ。[r]
 それに、どっちかってーと、考え無しの傾向の方が[r]
 強い気がするけどなあ」[pcms]
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*3187|
[fc]
[vo_aya s="aya_0228"]
[ns]絢[nse]
「いいえ。私……いつも、はっとさせられるんです。[r]
 そういう考え方が出来れば、もっと違っていたかもって。[r]
 今の自分とは違う自分になっていたかもしれないって」[pcms]
*3188|
[fc]
そう言う真坂さんは、自嘲気味にくすりとした笑いを[r]
浮かべていた。[r]
凛とした顔立ちが、哀しみで歪みかけていた。[pcms]
*3189|
[fc]
[ns]大介[nse]
「……俺は、今の真坂さんも、結構いいと思うよ。[r]
 今の真坂さんしか俺は知らないけどね。別の真坂さんだったら、[r]
 こうして一緒にキャンプとか来られたかわかんねーし」[pcms]
*3190|
[fc]
[ns]大介[nse]
「それにさ、俺よりうんとこさ成績いいしさ。[r]
 昨日も思ったけど、いざというとき頼りにしようってさ」[pcms]
*3191|
[fc]
[ns]大介[nse]
「直近だとさ、夏休み明けの試験前には頼りにして[r]
 ぜひぜひご教授願いたいと、思ってたりするぜ」[pcms]
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*3192|
[fc]
[vo_aya s="aya_0229"]
[ns]絢[nse]
「まあ……」[pcms]
*3193|
[fc]
真坂さんは、いままでに見た事がない穏やかで優しい目に変わり、[r]
俺をじっと見返してきた。[pcms]
*3194|
[fc]
[vo_aya s="aya_0230"]
[ns]絢[nse]
「私でいいならお勉強のお付き合いはさせていただきます。[r]
 みなさんでやったら、きっと楽しい勉強になりそうですし」[pcms]
*3195|
[fc]
[ns]大介[nse]
「ああ、そうだね。もっともみんな一緒だと遊びの延長になって[r]
 進まない可能性も高い気がするけどな。[r]
 そんときは、ビシッと言ってやってくれな、真坂さん」[pcms]
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*3196|
[fc]
[vo_aya s="aya_0231"]
[ns]絢[nse]
「私に……出来るでしょうか?」[pcms]
*3197|
[fc]
[ns]大介[nse]
「だーい丈夫。なにせ、ホラー小説読んで、相手に立ち向かう[r]
 なんて言うひとだからね、真坂さんは。[r]
 俺やマコト、梢相手だったら、もっとたやすいだろ?」[pcms]
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*3198|
[fc]
[vo_aya s="aya_0232"]
[ns]絢[nse]
「……うふふ。そうですね。頑張ってみます」[pcms]
*3199|
[fc]
真坂さんは、ようやくにっこりと楽しげに笑ってくれた。[r]
俺が見たいと思っていた笑顔だった。[pcms]
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*3200|
[fc]
俺は更に畳みかけるように、将来ちょっとでもなってみたいと[r]
思っている事がないかとか、興味がある事なんてのを矢継ぎ早に[r]
訊いていった。[pcms]
*3201|
[fc]
真坂さんは、時にはうつむいて考え込み、時には小首をかしげ、[r]
一生懸命に答えようとしてくれた。[pcms]
*3202|
[fc]
俺はいろいろな表情の真坂さんが見たくて、なるべく哀しい顔に[r]
なってしまわせない為にも、時には冗談めかし、時には真剣に、[r]
真坂さんとの会話を楽しんだ。[pcms]
*3203|
[fc]
真坂さんが伏せた本は、そのあいだ開かれる事は無かった。[pcms]
;//〆:合流へ
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